出版社内容情報
江戸時代の公家たちは、様々な事情で江戸に下り、武家や町人と互いに多様な交流の機会をもった。朝廷の意志を幕府に伝える者や、将軍の昵近衆として儀式を荘厳する「役者」たち、家元として技芸を指導する人々、将軍・大名の妻や大奥に仕える女性など、多彩な公家の生き様を取り上げて社会の諸相に迫り、都市「江戸」の新たな一面を見出す。
内容説明
江戸時代の公家は、様々な事情で江戸に下り、武家や町人と多様な交流をもった。朝廷の意志を伝える者や、幕府の儀式を荘厳する「役者」、家元として技芸を指導する人々など、多彩な生き様を取り上げ、社会の諸相に迫る。
目次
都を離れる―プロローグ
将軍を訪ねる
江戸の「役者」を務める
江戸に遊び・暮らし、交流する
江戸に召喚される
江戸に嫁ぐ、大奥に入る
江戸に迫る
東京に集う―エピローグ
著者等紹介
田中暁龍[タナカトシタツ]
1961年、東京都に生まれる。現在、桜美林大学リベラルアーツ学群教授、博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
112
徳川幕府の成立後、朝廷は将軍家や諸大名とのつながりを深めようと積極的に交流を重ねた。そのため公家を江戸に派遣して様々な問題で交渉し、皇族や公家の娘との婚姻を通じて京風の生活様式や儀式を江戸城内に広め、伝奏屋敷という公館を通じて情報を得ようと心を砕いた。実力で圧倒的に劣り公家諸法度を強要された朝廷側は、外交と文化の力を通じて武家を取り込むことで自らの立場を改善しようと図っていく。幕末維新に際して朝廷が徳川に代わる位置を占め得たのは、200年余の外交努力で少しずつ天皇の権威を武家側に浸透させた結果だったのだ。2023/10/09
アメヲトコ
10
2023年9月刊。勅使などさまざまな事情で江戸に下向した近世の公家にスポットを当てた一冊。中世に比べて力を失っていたとはいえ京都ブランドは健在で、江戸の武家たちから諸藝の弟子入りを求められるなどモテモテなのが面白い。色々なトピックごとにまとめられているので時代が行ったり来たりするのは読んでいて若干戸惑いましたが。2024/01/06
伊達者
3
影が薄い江戸時代の公家の動向をまとめた本。公家が武士に芸を伝授する動きなどは知らなかったので興味深い。公家の視点で幕末の動きがまとめられているので頭の整理に役立った。2023/11/09
Teo
2
武家伝奏と言うのがあったのは知っているが、公家の中でどんな立場の者がどんなタイミングで江戸に下向したのかと言うのはそう知っている訳ではなくて、この本を買った。武家伝奏以外にも将軍昵懇と言うのもあるんだね。2023/10/27