内容説明
天下人の血筋を誇りながら、凡庸な性格が豊臣家を自滅させたとされてきた秀頼。この徳川中心史観を払拭し、波瀾の生涯から浮かぶ実像を再発見。彼が着々と歩んだ、秀吉の後継者としての政治家・天下人への道筋を探る。
目次
なぜ豊臣秀頼なのか―プロローグ
誕生から元服まで
父の死と関ヶ原合戦
消えない秀頼の存在
秀頼と家康の攻防 最終戦
秀頼の最期―エピローグ
著者等紹介
福田千鶴[フクダチズル]
1961年、福岡市に生まれる。1993年、九州大学大学院文学研究科博士課程後期中途退学。国文学研究資料館・史料館助手、東京都立大学助教授、九州産業大学教授等を経て、九州大学教授博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chang_ume
11
豊臣秀頼の生涯に伴走することで、関ヶ原戦から大坂の陣に至る体制変化について、刻々と変化する状況を知ることができた。二重公儀体制という玉虫色の時代理解よりも、関ヶ原戦翌年に早くも源氏長者に補任された家康側が着々と豊臣政権を蚕食した過程が生々しく感じられた。二条城会見後の書札礼と贈答の史料解釈がひとつ読みどころですが、これは正直判断つかず。どちらかというと、武家社会の慣例に反して生母茶々の母乳(!)で育てられた秀頼が、最期まで母子関係を更新できぬまま死んだように思える。このあたり、著者の感慨とは異なる印象も。2021/02/02
ともがら
5
プロローグにて、従来のイメージを変える劇的な解釈があったのかと、期待し過ぎた まあ私は豊臣ひいきだから、よくあるドラマのようにはこの母子を思ってなかったてのもあるが 大家が持ち上げてくれる作品を書けばイメージが変わるだろうに2017/03/28
東隆斎洒落
5
14.10.13◆丁度400年前の1614年10月、大坂では11月開戦の「冬の陣」準備進む…◆凡庸な秀頼、身勝手な淀、豊臣家の自業自得と云われた徳川から見た歴史観を、客観的に解き明かす一冊。◆秀頼は秀吉の実子かについての検証に始まり、老獪な家康に追い込まれながらも、官位叙任では絶大な威光と権限を持っていた秀頼像に迫る。◆夏の陣での出陣できなかった理由や、鹿児島で生き延びた説が残る理由まで、満21歳で没した秀頼から見るとこうなるのか・・・と、ものの見方・切り口の違いから出る深い考察を学ぶ。 2014/10/13
ユウヤ
3
NHKの某番組を視たことから読み出した。小学校の時、19歳の秀頼は70歳の家康からみたら青二才扱いだろうと思っていたが、ある程度年がいってくると家康の焦りがわかるようになった。秀頼の方が若い!絶対有利!厳密な史料批判をしながら秀頼に対する誤解を解いていった著者の力量と秀頼、並びに大坂の陣で死んでいった人たちへの愛情が伝わってくる一冊。合掌。2015/06/07
むっち
3
秀頼は、聡明な人だ。成人後、二条城で会見した家康は、この時、豊臣を滅ぼそうとしたのではなかろうかと思わせる資料を引用しながらの論証は迫力満点です。すでに天下人として着々と実力も蓄えていたのに怯える家康に、聡明で誇り高い秀頼は滅ぼされる運命だったんでしょう。2015/02/16