歴史文化ライブラリー
“身売り”の日本史―人身売買から年季奉公へ

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784642057417
  • NDC分類 210.4
  • Cコード C0320

内容説明

借金のカタに娘が泣く泣く遊女に売られる「身売り」。中世の人買い船、戦国の「人取り」、江戸時代の人身売買禁止令を分析し、「遊女に売る」から「奉公へ出す」へ変わる人びとの認識とそのカラクリをあぶり出す。

目次

弱者が人身取引の犠牲になる―プロローグ
人身売買と「人売り買い」
戦国の人売り買い
「奉公人」から年季奉公人へ
身売りの変性
生き残る身売り
身売りは江戸時代の代名詞―エピローグ

著者等紹介

下重清[シモジュウキヨシ]
1958年北海道に生まれる。1981年早稲田大学第一文学部日本史専攻卒業。1991年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程(日本史専攻)満期退学。2006年博士(文学)早稲田大学。現在、東海大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Toska

25
非常に重いが読み応えは充分。古代〜中世の奴婢と下人、近世以降の遊女を取り上げ、日本史のダークサイド・人身売買の実態に迫る。前者のパートでは、当時の日本における生産様式(奴隷or農奴?)にまで話が及ぶ。マルクス主義史学の退潮以降はあまり見かけなくなった視点で、今となっては逆に新鮮。「下人」「譜代」などの実態は、奴隷以外の何物でもなかった(下人の子は下人であり、生まれながらに主人の所有物となる)。時代区分論争の泥沼に足を突っ込む必要はないが、これは確かに考えるべき問題であろう。2025/04/17

kuukazoo

11
過去から禁止対象は拐かし等の人身売買で、譜代の下人(家内奴隷)はもとより、生活苦から妻子を売ることは黙認されていた。江戸時代には奉公人契約という手続をふんで労働力調達を行うことが武家や庶民にも広く行き渡った。そのため肉体労働者(主に男性)調達を人身売買的手段で行うことはなくなったが、女性を「奉公人」として遊女などの性労働に従事させる「身売り奉公」という名の人身売買は公然と続いた(その裏には家の存続を第一とする家父長制がある)。最初に読んだ牧英正の本を易しめにした印象で理解が深まったが闇も深まった。2022/06/30

てくてく

4
人身売買は禁ずるという建前の裏で、飢饉時は生き延びるための人身売買が認められていた。また、戦争時には褒賞に預かることのできない下級武士等の現金収入として人さらいおよび人身売買が当然のこととして行われていた。その後、年季奉公に関する制度が整えられるとともに、性の売り買いとしての女性を対象とした人身売買も整備されていき、他方において幕府の私娼が取締りの対象となることで、娼婦=悪という認識が定着する過程が整理されている。「イエ」の存続と女性の売買は現代になってようやく終焉を迎えたとされるが、どうなのだろうか。2015/02/15

Arte

3
昔から、人を誘拐して売るのは違法だが、もともと奴隷の人の売買や親が子を売る身売りは合法だったこと、江戸時代になると家父長制に都合の良い女性の身売りだけが残るようになったことなど。そ、そうなのか。2017/12/26

lanikai

3
年季奉公、暇(いとま)乞いなど時代小説によく登場するキーワードだが、実際にどのように成立し、法的にどう形作られてきたのかとても良くわかる。日本にも古来存在した奴隷制度が秀吉の政策を起点に雇用契約へと形を変えていくあたりは目から鱗だった。そしてそれでも実質的な奴隷売買から脱却できなかった遊女・売春婦の問題は、戦後まで尾を引き、女性を買い受けるシステムは未だにジャパゆきさん問題として世界に汚点を残す。日本史における身分制を理解する上では必須の参考資料に思える。2012/09/30

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