内容説明
戦後の、女性差別が今より厳しかった時代に女性史を志した研究者が、自らの体験や女性史への思いを熱く語る。個人史の面白さを兼ね、女性解放を目指し創りあげた女性史の原点を探る、世代や男女を問わず読める一冊。
目次
戦後の息吹のなかで女性史を
良妻賢母主義の家庭から
運動・子育てと研究・教育
私自身の解放のために
近世女性史を育てる
「持続する志」で―四八歳で教師から学生への転換
女性の歴史―ハーストーリーをつくる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
7
図書館にて。2001年4月刊行。総合女性史研究会の創立20周年記念事業のひとつとして、近代女性史研究会のメンバーへ聞き取りしたもの(後者は20名程度の小さな会で、多くは前者にも属す)。語った7名の女性研究者は1926〜1934年生まれで、昭和10年代を少年期・思春期で過ごして戦後に新制大学の最初期の入学・卒業者となったブルジョワの子女らで、揶揄ではなく意識の高いクラスの語りだ。多くが井上清『日本女性史』に言及している。変革期を生きることの輝かしさは否定しないが、それはキレイな物差しと見える2025/07/25
吃逆堂
3
戦後に学び、女性史研究を牽引してきた女性研究者たちの証言。さまざまなかたちで性差別に行き遭い、差別との闘いと女性史研究に取り組んできた過程が、それぞれのことばで淡々と述べられている。約四半世紀前の本であり、証言内容は今から半世紀ほど前のことだが、今なお克服されていない問題ばかりであり、自分のジェンダー理解の進み方がいかに遅れているか恥ずかしくもなる。2024/01/31