出版社内容情報
石川啄木が生きた26年間(1886~1912)は、日本の社会が根底から変動した産業革命の時代であった。彼の高感度の頭脳から生み出された短歌は、同時代を鮮かに映し出す。近代人の心の姿を、20世紀初めの北海道を、東京人の生活を、望郷の念を。また近代日本の暗部を。さらに女性たちの社会進出を、近代的な愛のかたちを。今、啄木が新しい。〈主な目次〉産業革命の時代/近代の断片(月に吠える・砂山・利己心など/旧民法・中学校・十五の心など)/北海道の近代(函館の街・札幌の空/小樽での騒動・釧路での恋)/近代都市と望郷(近代都市東京に生きる/産業革命と望郷の歌)/近代日本のネガ(赤旗事件/幸徳秋水の闘い/韓国併合)/近代女性のイメージ(妻・女教師・看護婦/橘智恵子)/あとがき
内容説明
社会が根底から再編される時代を生きた啄木。彼の高感度の頭脳から生み出された短歌は、同時代を鮮かに映し出す。近代人の心の姿を、北海道や東京の近代を、時代閉塞の現状を、社会に進出する女性達を。今、啄木が新しい。
目次
近代の断片
北海道の近代
近代都市と望郷
近代日本のネガ
近代女性のイメージ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダダダンダ
0
著者は啄木のこと褒めすぎでは??と思わなくはない。でも歌の背景が分かって面白かった、日本の近代化(産業革命)における都市生活者の望郷の思いや当時の北海道の発展の様子、韓国併合、幸徳事件、新たな女性像など…啄木は時代の雰囲気を鋭く捉え、巧みに作歌している。特に、“地図の上朝鮮国に黒々と墨を塗りつつ秋風を聴く”は、韓国併合時に『東京朝日新聞』に大日本帝国の版図として“新版図”の朝鮮を黒塗りにして掲載。そして左に朝鮮の地図が別に印刷されていて、啄木は哀悼するような気持ちでそれに墨を塗ったという背景を知った。2024/07/03
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