内容説明
室町幕府の第四代将軍。父義満の絶大な威光の下で将軍となるが、その政治的遺産はあまりに大きかった。日明交易の廃止など、守旧的な施策は前代への反動と評価されてきたが、諸大名や天皇家と協調し、神仏を篤く信奉した義持の執政は室町幕府の典型であり、もっとも平穏な時代を築きあげた。禅に帰依し、文化を大きく育んだその生涯を描く初の伝記。
目次
北山時代の義持
家督相続
内大臣義持と朝廷
義持の外交
争乱・騒動と京都政界
鎌倉公方持氏との抗争
義量の死と将軍空位
義持晩年に起こった問題
信仰と芸能
義持と家族・親族
義持の死
著者等紹介
伊藤喜良[イトウキヨシ]
1944年生まれ。1974年東北大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、福島大学行政政策学類教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こきよ
60
専制君主の後を継ぐ者の一つの典型。その治世は概ね安定しており調整型為政者の成功例であろう。後継指名をせずとも籤引きで決まる辺り、これを混乱と見るよりもむしろ義持の影響力の浸透を感じる。2015/08/04
組織液
11
四代将軍足利義持の人物叢書です。義持関連で一番有名な話と言えば、やっぱりその死因ですかね()。後継者の件もあって一般的にはそんなに評価されている将軍ではないと思いますが、カリスマ義満だからこそ成立した特殊な政治形態を、凡人たる自分にも扱えるように軌道修正したあたりは結構好きです。ビスマルク失脚後の帝政ドイツ外交でも似たような指摘があったような。一番気になるのは義嗣の逐電の真相。義持と義嗣は割と仲良かったという指摘もありますし、個人的には義嗣が禅秀方と繋がってたとはとても思えませんが…謎だ…。2024/01/12
アメヲトコ
7
父足利義満のキャラの濃さに隠れて影の薄い4代将軍義持の評伝。調整型の将軍ということでその政治姿勢もやはり地味ですが、禅に深く傾倒したり、自身で筆をとって水墨画をものしたり(口絵掲載)、なかなかに味のある人です。風呂場でお尻のおできを掻きむしったら傷から菌が入って亡くなるという最期が哀しい。2018/12/06
MUNEKAZ
3
義満・義教の強烈な個性に挟まれて地味に見えるけど、この人もなかなか濃い人だということが分かった。2015/06/04
マカロン
1
他の足利将軍に比べてどうしても地味な印象のある義持だが、父である義満の特殊な権力形態を元に戻し、二十年間の比較的平穏な時代を維持し続けた堅実な将軍だった。神仏への厚い信仰心や世阿弥にも評価される文化的素養を持っているところにも好感が持てる。2015/02/17
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