内容説明
新田義貞は鎌倉幕府を滅ぼした武将。後醍醐天皇の計画に呼応して倒幕を果たし、建武政府の一翼を担う。足利尊氏との対立を深め、南北朝動乱の中で、転戦の末、越前国藤島で不慮の戦死を遂げる。信頼し得る古文書を博捜し、義貞を支えた人的基盤を探るとともに、『太平記』によって創り出された凡将・愚将観を見直す。その実像を活写する義貞伝の決定版。
目次
第1 火山灰地に立つ(上野国新田荘と新田氏;得宗専制下の新田一族と長楽寺の再建 ほか)
第2 元弘の乱・南北朝内乱における義貞(義貞、鎌倉幕府を滅ぼす;建武政府を支えた新田一族 ほか)
第3 義貞の妻・子息と一族・家臣(義貞の妻と子息たち;新田一族の活躍とその舞台 ほか)
むすび 新田義貞の史的評価(南北朝内乱のなかの義貞;義貞は時代遅れの凡将・愚将か ほか)
著者等紹介
峰岸純夫[ミネギシスミオ]
1932年生まれ。1961年慶応義塾大学大学院修士課程修了。東京都立大学名誉教授、国学院大学大学院講師、文学博士
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感想・レビュー
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だまし売りNo
39
義貞は一所懸命の坂東武士であり、越前の領国化を優先した。「ようやく軌道に乗りかけた越前の制圧を上洛によって失いたくないこと、また南朝中枢部の策謀に振り回された比叡山から越前落ちの苦い経験などが、義貞をしてあえて上洛に踏み切らせなかった要因ではないかと思う」(峰岸純夫『新田義貞』吉川弘文館、2005年、124頁)。南朝の忠臣として義貞を見ることはステレオタイプになるだろう。2023/01/04
BIN
3
鎌倉幕府を滅ぼした英雄の一人である新田義貞の解説本。発起前の上野の地勢のことや鎌倉を攻撃する前の足利義詮らとの合流についての解説が詳細に書かれている。義貞本人のことは半分以下程度しか書かれていない。2014/11/24
マカロン
2
新田義貞の評伝。義貞本人に関する記述が思っていたより割合少なく、義貞を支えた一族に関する記述が多い。上野国(新田荘)の地勢についても詳しく書かれており勉強になった。2015/10/02
MUNEKAZ
0
義貞の一族や家臣、また新田荘などの当時の上野についても多くページを割いているのが特徴的。なのでもう少し図版や系図が多いと理解がより深まったと思う。こうして義貞の生涯を辿ってみると、後醍醐天皇に振り回され続けたという印象が強く、気の毒に思えてきた。2016/03/08
叛逆のくりぃむ
0
鎌倉攻めの主將である新田義貞の事迹を記した評傳。越前における義貞の戰死が偶發的なものであつたとする事實は興味深い。2015/08/11