内容説明
蒙古襲来の時代を生きた第8代鎌倉幕府執権。外圧を背景に、自らの権力確立のため、北条一門の名越氏と異母兄時輔を反得宗とみなして誅殺。34歳の若さで没した生涯を、今まであまり利用されなかった『建治三年記』や無学祖元の語録などを通して詳細に描写。蒙古問題の宗教的代弁者、日蓮にも説き及び、歴史の真相を浮き彫りにする。
目次
おいたち
元服と父の死
連署時代
蒙古国書の到来と執権就任
時宗と禅僧
二月騒動
文永の蒙古合戦と異国警固
「異国征伐」
『建治三年記』にみる時宗
時宗と無学祖元
弘安の蒙古合戦と円覚時の創建
終焉
北条時宗小論
著者等紹介
川添昭二[カワゾエショウジ]
1927年生まれ。1952年九州大学文学部史学科(国史専攻)卒業。九州大学文学部助手、同助教授、同教授、福岡大学教授を経て、現在、九州大学名誉教授
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
15
北条時宗の評伝。人物叢書らしく簡にして要を得た仕上がりで、時宗のことを知るにはちょうどよい。父・時頼に比べると逸話も少なく、「元寇」という一点のみで評価が下されてきた人物の肖像を、渡来僧との交流や文芸との関りから導こうとしている。元への対応はもとより二月騒動での徹底した粛清から果断かつ非情な政治姿勢を伺うとともに、禅宗への真摯な態度や身内への愛情など私人としての面も考察している。また時宗が師事した渡来僧たちは南宋の出身であり、彼らが描く時宗没後の賛辞は、単なる追従以上のものなのかもしれないと思った。2022/01/12
葉紗
3
鎌倉幕府第8代執権として、蒙古襲来に対処した北条時宗のことについて書ききった本。時宗の人生がすべて網羅されており、最近この時代に興味を持ち始めた私としては、とても参考になる本でした。父・北条時頼に比べて逸話が極度に少なく、個人としての彼は謎だらけですが、禅僧との関わりや作った漢詩文などから、彼の人となりが考察されていて、その謎に一石を投じておりました。また、ともすれば極度に称揚されがちな北条時宗のモンゴル撃退という業績について、冷静な評価を下していたのも良かったです。2014/08/04
i-miya
0
8代執権 北条一門、名越氏と異母兄時輔を反得宗としてちゅうさつ 30歳の死 「建治3年記」 無学祖元 日蓮 一遍と出会った北条時宗 32歳 1270 惟康 清原教隆 建長寺住持 運慶道隆 日蓮を逮捕、佐渡へ配流す 12.12 嫡男貞時生まれる 1272(文永9)2.15 北条義宗に時輔を討たす(ちゅうさつ=2月騒動) 越訴 1274(文永11) 2.14 日蓮の佐渡配流を許す 北条政村 1274.01.26 亀山院政開始 前将軍宗尊 建治元年(1275) 10/21 豊前国到津 勾金両庄の地頭職を宇佐八幡2008/09/10