内容説明
『群書類従』をはじめ、数々の古典の編集・校刊にまれにみる偉業を成し遂げた塙保己一は、幼時失明した盲人学者であった。常人ですら容易に成し得られない驚嘆すべき大業績がいかにして盲人の身で達成されたのか。その国史・国文研究における恩恵は大きい。本書は俗説を正し基本的な史実に立脚して真正な保己一に迫る最も信頼し得る正伝。
目次
幼少時
江戸へ修行に出る
盲人としての修業から学問へ
自己の道に入り立つ
衆分時代
基本的な人生観の証得
勾当時代
検校に進む
『大日本史』の校正
『群書類従』の刊行と和学講談所の創立
集書・刊行の事業進む
『続群書類従』への熱意
総検校
『群書類従』の冊数その他
保己一の和歌
保己一の遺文と検校追悼の和歌
荻野氏・塙氏系譜〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
18
7歳で失明(2頁)。12歳、母を失う(4頁)。悲しさが子ども時代に襲っている。謙虚に、誠実に、人のためになろうと働く人間の生き方を、少年の純粋な感受性で、全身的に学んでいた(9頁)。吉野西行庵で歌を詠んだ。「盛りには いづれをそれと しら雲の かゝるも匂ふみ よしのゝ花」(33頁)。桜の花盛り。保己一は賀茂真淵に入門(35頁~)。保己一は平素非常に質素で、美服をかざらず、美食をこのまず、すべてあるに従ってことを弁じた(199頁~)。保己一は本屋の持って来る本はいくらでも言い値で買い取った(200頁)。 2021/03/26
jinginakineko
1
塙保己一の伝記はどうしても偉人伝風なものが多く、肝心の業績にあまり触れられていなかったりするのだが、ようやくスタンダードな伝記に巡り合えた。『群書類従』は「日本の古今の書物を叢書にまとめてある」ことが凄いのだと思ったいたが、それ以上に「開板」……活字にしたことが凄いのだと初めて気づかされた。写本によって原本と差異が生まれてしまうことを避け、底本を決めて何度でも何冊でも刷れて、誰でもアクセスできる叢書を出現させること。凄い仕事だ。更に企画、事業センスも傑出していたことも知り、唸るばかり。2024/07/24
多読多量連投が日課だった
1
盲目の学者。2017/07/09
arere
1
盲人の塙保己一が、群書類従刊行という偉業を達するまでを実に明快かつ慎重に記す。2017/01/25
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