内容説明
明治絵画史における「理想」とは何か。日本画家の横山大観、洋画家の黒田清輝の絵画を中心にその美学的背景を探る。明治後期、西洋の理想主義がどのように受容されたのかを、日本の近代美術の展開と合わせて検討する。
目次
1 理想主義をめぐる理論と実践(理想主義とイデア―フェノロサ「妙想」考;岡倉天心の課題制作の前提;意匠研究会(遂初会)の課題制作―明治三十年前後
日本美術院の課題制作)
2 横山大観筆“屈原”と「エクスプレッション」(横山大観筆“屈原”分析;画中人物の感情を描く;「エクスプレッション」をめぐって;小泉八雲「日本絵画論」とその影響;横山大観筆“聴法”における「エクスプレッション」)
3 「心待ち」をめぐって―黒田清輝と岡倉天心(東京美術学校西洋画科カリキュラムの変容;黒田清輝と岡倉天心の意見の食い違い;その後の黒田清輝の理想画観)
4 黒田清輝筆“昔語り”の構造(“昔語り”の概要と「構想画」;構図の分析;木下杢太郎「京阪聞見録」)
5 黒田清輝筆“智・感・情”と美学(主題の典拠をめぐって;明治期の心理学史・美学史とスペンサー美学;黒田清輝筆“智・感・情”とスペンサー美学)
著者等紹介
植田彩芳子[ウエダサヨコ]
1975年神奈川県に生まれる。1998年東京大学文学部美術史学専修課程卒業。2010年東京大学大学院人文社会系研究科美術史学専門分野博士課程修了、博士(文学)。現在、京都文化博物館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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