内容説明
近世女性史研究に新たな視野を切り拓き、既存の近世史研究へも多くの問題を投げかける意欲作9編。封建社会の町や村に生きる女性たちを、史料を丹念に集め着実な分析を加えることによって多面的に描き出し、その経済的・法的・社会的存在形態に迫る近世女性史研究会7年の成果。現代の女性問題にも多くの示唆を与える。
目次
幕藩権力と女性(幕藩権力と女性―『官刻孝義録』の分析から;近世における女性の関所通行について―「箱根御関所日記書抜」にみられる女通行手形を中心に)
村方女性の労働と生活(近世後期女子労働の変遷と特質―常州下江戸村那珂家女子奉公人の分析を中心に;幕末農村女性の行動の自由と家事労働―武州橘樹郡生麦村『関口日記』を素材として)
町方女性の相続と地位(江戸町方における相続;近世京都における女性の家産所有;京都町家女性の存在形態―柏原よりを中心に)
廓と旅籠(金沢の廓;東海道宿駅における飯盛女の存在形態)