内容説明
本書は、近代日本の思想家・政治家たちの対外観を一本の赤い糸とする、近代日本政治思想史である。啓蒙期における福沢諭吉の西洋理解の特質の解明に始まり、様々な立場の人々が、西洋・東洋をどう眺め、日本をどのように改造しようとしていたのかを、明治・大正・昭和とたどり、最終章で、アメリカに移民し、その後帰国したリベラルな評論家・清沢洌において、いわば二つの祖国が戦うことになった悲劇を描く。
目次
啓蒙の政治思想―福沢諭吉
自由民権の思想―中江兆民
ナショナリズムの思想―陸羯南
理念と権力―陸奥宗光
明治の社会主議とアメリカ―安部磯雄と幸徳秋水
国体の政治思想―上杉慎吉
主権論の諸相―井上密・市村光恵・植原悦二郎
日本の新自由主義―東洋経済新報社の人々
中国革命と日本の改造―宮崎滔天と吉野作造
アジア主義の思想―岡倉天心と大川周明
アメリカと日本―清沢洌