内容説明
あなたは、ほんとうに「文学」から解放されているか。あなたはうっかり「文学」してないか。近代小説の語りの分析によって、構成体としての近代文化の制度・規則・慣習、「現実らしさ」の神話の実態を描きだす。
目次
1 語りと描写(描写における語り―『破戒』の描写について;『田舎教師』の自然描写―影響について自己言及的に語るテクスト;平面の精神史―花袋「平面描写」をめぐって)
2 語りの起源(夢の言説―「夢十夜」の語り;「蒲団」における二つの告白―誘惑としての告白行為;語ることと読むことの間―「蒲団」の物語言説 ほか)
3 語りの戦略(語りの機能―「吉野葛」の語り手「私」;語りの戦略―井伏鱒二「山椒魚」を読む;「近代小説」と語りの抵抗―井伏鱒二「炭鉱地帯病院」と芥川龍之介「藪の中」)