内容説明
既成の文学史的概念を排し、可能な限り新しいコンセプトによって文学史の組みかえをはかった。作家やエコール中心の叙述ではなく、同時代の文化状況とのかかわりの中で、表現に即した史的把握を目指した。これらの新しい試みとリンクさせて、執筆者は、三,四十代を中心に気鋭の研究者・批評家を網羅した。昭和文学研究の総合的結集。
目次
序 都市と記号の時代(記号と場所;例えば「浅草」という場所について)
1 大衆の発見(円本ブームと文学者;同人雑誌の時代)
2 モチーフとしての都市(都市の孤独者―梶井基次郎;迷宮としての都市―乱歩・川端・広津・秋声)
3 身体と資本主義(商品としての身体;女と言説)
4 記号としての言語(詩の前衛;短歌・俳句における前衛)
5 反=都市/反=近代(谷崎潤一郎の〈語り〉;『夜明け前』の反近代;『暗夜行路』の〈姦通〉と〈自然〉;井伏鱒二の〈くったく〉;宮沢賢治の孤独)