内容説明
この山本幸三元地方創生担当大臣の撤回された発言の一方で、「文化財で稼ぐ」という、政府の観光政策が進められている。文化財で稼ぐとはどういうことなのか。文化財を守り、その価値を未来へ伝えていくためにどうすればよいのか。政府の施策を紐解き、学芸員の厳しい環境や課題に向き合い、博物館再生への道を模索する。
目次
序章 博物館が危ない
第1章 博物館が直面する諸問題
第2章 学芸員の疲弊
第3章 崩壊原因となった関係法とその影響・聖域なき構造改革と博物館
第4章 博物館の使命―収集と収蔵品管理
結章 博物館の再生を目指して
著者等紹介
青木豊[アオキユタカ]
1951年和歌山県橋本市生まれ。國學院大學文学部史学科考古学専攻卒業。博士(歴史学)。現在、國學院大學文学部教授・鎌倉歴史文化交流館館長
辻秀人[ツジヒデト]
1950年北海道生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。文学修士。現在、東北学院大学文学部教授
菅根幸裕[スガネユキヒロ]
1958年東京都生まれ。筑波大学第1学群人文学類日本民俗学専攻卒業(明治大学大学院文学研究科前期課程退学)。現在、千葉経済大学経済学部教授・千葉経済大学地域経済博物館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のぶ
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先日読んだ、科学の(この国での)危機的状況を伝える本と、双子の関係の状況を描く本、と位置づけられそうです。学問と文化にお金を使いたくない拝金主義政権の時代が長く続いていて、「地方創生」とかいう耳当たりのいいお題目の陰で進行している事態を現場の人達は感じ取っている(というか追い込まれている)ようです。あと、テクノロジーや社会環境の変化に法体系が追い付いていないことの問題も本書で指摘されています。博物館が壊されても私の明日の暮らしには困らないけど、この国に生きる者の誇りや安心のためには「文化」は重要ですよね。2020/02/12