内容説明
長い時間をかけて様々な国の文化を吸収し独自の伝統文化へと昇華した日本食。しかし戦後、食文化が国際化したために、伝統的な日本食と在来の食事光景は揺らいでいる。歴史を辿ることで日本食を捉え直し、かつ今後の食の在り方に論及する。
目次
第1章 日本食の夜明け前
第2章 古代の食事に日本食の源流を探る
第3章 日本料理を育てた中世社会
第4章 大江戸で爛熟した和食の文化
第5章 和食を近代化した百五十年の歩み
第6章 和食の伝統を明日の「食」に活かす
補章 揺らぐ日本の酒文化:日本酒からビールへ
著者等紹介
橋本直樹[ハシモトナオキ]
京都大学農学部農芸化学科卒業、農学博士。技術士。キリンビール(株)開発科学研究所長、ビール工場長を歴任して常務取締役で退任。(株)紀文食品顧問、京都大学、東京農業大学非常勤講師を経て、2010年まで帝京平成大学教授(栄養学、食文化学)。食の社会学研究会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
11
和食がUNESCO無形文化遺産になった。古代の民衆は魚の鱠や生野菜を盆に盛り、手づかみで食べていた(15頁)。ワイルドだろぅ?(ちょい古いか) 庶民の食事は玄米飯にあらめ汁(34頁~)。朝夕二食で我慢(42頁~)。膳と箸を使って紀要に食べる日本人を外国人(南蛮人宣教師)らは驚いたという(67頁)。蕎麦売りの屋台はコンパクトだけど、こんな畳1畳ほどのスペースで商いをするのは魅力あるな(92頁)。中山間地域の耕作放棄地は40万ヘクタール(127頁)。この有効活用が求められる。太陽光パネルを置いてもよいが。2014/01/25
白義
9
一般にイメージされる日本料理の起源となったのは、意外にも中国から伝わった精進料理。殺生戒など制約の多い中から調理法を洗練させた精進料理を元に、本膳料理、懐石料理と日本の独自色が加えられていったのだという。その後、江戸で民衆からも料理文化が生まれ、栄養バランス向上のために近代で欧風化していき今に至るのだとか。食文化の歴史を簡単におさらいできて有益だが、その分和食の伝統性を称揚する後半の著者の持論が自己相対化されてしまっていまいち後半は響かない。歴史部分がかなり面白いだけにそこは欠点か2014/10/12
あや
2
日本食の文化を時系列で。国内の米の生産量や各時代の家計・米消費量について具体的な計算があり、このように考えればいいのかとわかったのが良かった。2024/10/22
ponnelle
2
平安時代まで日本にヨーグルトを食べる習慣があったなんて驚き!2014/01/20
おうち🏡
1
日本の伝統料理について、歴史の流れで分かりやすく紹介されていました。現在の問題である「あと30年後に訪れる世界飢餓が起こったとき、6割程輸入に頼っている日本はどうなってしまうのか?」「孤食について」「このまま食の欧米化が進むことによる生活習慣病などの健康問題について」を最後に問題提議していました。江戸時代からの食の発展していく様子はとても想像しやすく、今後ドラマや資料館などを訪れる際に役立ちそうです。読んでとてもためになりました!お薦めです!2017/02/14