内容説明
心やさしく傷つきやすい“ガラスの坊や”が、音楽で世界を征服するまで。10歳から読めるクラシック音楽入門書。音楽が試聴できるQRコード付き!
目次
第1章 モスクワへ
第2章 アンダンテ・カンタービレ
第3章 白鳥の湖
第4章 フォン・メック夫人
第5章 悲劇の結婚
第6章 旅から旅へ
第7章 突然の別れ
第8章 クリンの世捨て人
第9章 ファニー先生との再会
第10章 悲愴交響曲
著者等紹介
ひのまどか[ヒノマドカ]
音楽作家。東京生まれ。東京藝術大学器楽科(ヴァイオリン専攻)卒業。東京ゾリステン他でヴァイオリニストとして活躍。東京藝術大学、故小泉文夫教授の下で民族音楽を研究。その後、作曲家の伝記や小説、音楽解説などの執筆活動に入る。現地取材がモットーで、「作曲家の物語シリーズ」(リブリオ出版・児童福祉文化賞を2度受賞)は全20巻中、19巻を手がけた。主な著書に『戦火のシンフォニー』(新潮社・第25回新日鐵住金音楽賞特別賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
37
幼少期の家庭教師から「ガラスの坊や」と言われた繊細で優しい人。音楽を聴くとほかのものは全て消え、音が生き物のように頭の中で暴れまわったそうです。身内、友、恩師からも愛された。フォン・メック夫人から長年多額の援助を受け(生涯一度も会うことなく!)、ある意味恵まれた作曲家生涯だったかもしれない。「パン屋がパンを焼くように、毎日作曲をする」のが信条。「交響曲は、いわば私の魂の告白」最後の交響曲悲愴を聴くと涙がこぼれました。そして読書は音楽の次に興味のあることというのが嬉しい。2023/09/13
いくら丼
9
やるべきことが見えていて、雇われ仕事が邪魔で仕方ない気持ちは共感できる一方で、私はここまで自分の"やるべきこと"を本当に理解しているだろうかとも思う。私には人並み程度の音楽の才能はあると思うので、本気を出せば人並み程度には何かを成せるだろう。でも、決してこの天才のようには成せない。自分だからこそのこれだと思える対象に、自分だけのやり方で迷わず全力を注ぎ込んて初めて、相応の結果になる……それと運や縁も。それに、どんなに未来が明るくても、ほんの一時の油断で全てが終わるのだ。それを忘れてはならないと思う……。2023/12/10
那智@灯れ松明の火
9
ひのまどかさん3冊目。今年3冊目に読み始めた本なのに、数時間で読み終わり、今年初の読了本になってしまった。チャイコフスキーは繊細で傷つきやすい人だったのね。フォン・メック夫人に多額の援助を受け、信頼できて自分を思いやってくれる師や友人がいて、音楽も自分の中からどんどん生み出され、作曲に打ち込める環境にいて、成功を経験し、外国でも認められるなど、かなり恵まれた人生だったのでは。ブラームスへの印象「おどろくほど感じのいい人だ。それなのになぜ、あんなまわりくどい音楽を書くのだろう……」声出して笑ってしまった2022/01/25
tkr
2
なんとなくクラッシック音楽の中で好きなチャイコフスキーの曲。今度バレエ観に行くので予習も兼ねて。あとクラウス・マンの著書チャイコフスキー(とても分厚い)を読む準備としても低年齢向けにわかりやすく書かれてあるであろう本書を読んでみた。とても良かったです。伝記といっても物語調で楽しくすらすらと読めて、ガラスの心を持ったチャイコフスキーの繊細さと音楽的才能の素晴らしさがとても伝わりました。多くの人と交流しながら孤独も抱えていた。彼の最期はとても悲しい。チャイコフスキーが未来を見据えて作った曲たちは本当凄い。2023/10/06
みさと
1
偉大なる作曲家、しかし、生身の彼は感受性豊かゆえ繊細すぎる人物。若い頃は多くの視線にさらされるゆえ指揮台に登れないほどだった。貴族の家に生まれた宿命から軍人か役人にならなければならなかったのに、音楽への情熱から作曲に人生を捧げる。ドイツ・フランス文化が称揚される当時のロシアにあって、ロシア文化・音楽を愛した彼の作品は理解されない。友人に勇気づけられながら信じる道を進む。晩年には世界的名声を確立するも、自らの人生の告白である悲愴交響曲の初演からほどなく病に倒れる。4楽章が脳内リフレインされ涙が出そうになる。2025/04/14
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