内容説明
無知・無理解と戦った、不屈の闘志。10歳から読めるクラシック音楽入門書。
目次
第1章 セバスティアン、ライプツィヒに行く
第2章 トマス・カントル
第3章 内に太陽、外に嵐
第4章 レオポルト侯との友情
第5章 マタイ受難曲
第6章 エルトマンへの手紙
第7章 ゲスナー来たる!
第8章 最後の戦い
第9章 音楽のささげもの
第10章 巨木の倒れる時
著者等紹介
ひのまどか[ヒノマドカ]
音楽作家。東京生まれ。東京藝術大学器楽科(ヴァイオリン専攻)卒業。東京ゾリステンほかでヴァイオリニストとして活躍。東京藝術大学、故小泉文夫教授の下で民族音楽を研究。その後、作曲家の伝記や小説、音楽解説などの執筆活動に入る。現地取材がモットー。「作曲家の物語シリーズ」(リブリオ出版・児童福祉文化賞を2度受賞)は全20巻中、19巻を手がけた。主な著書に『戦火のシンフォニー』(新潮社・第25回新日鐵住金音楽賞特別賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book & Travel
38
娘が借りていたのを拝借。10歳からと謳っている割にかなりのボリュームだが、バッハのライプツィヒでの日々を中心に詳しく分かりやすく書かれている。天才オルガニストと称賛され、膨大な数の作曲とカントルとしての教育者の仕事を日々熱心にこなす一方、決して譲らない頑固さで多くの敵を作っていく。そんなバッハの人物像がありありと伝わってくる。マタイ受難曲など名曲が作られた背景が分かるのもいい。これだけの人物なのに、死後遺族は貧困に苦しみ、その80年後にメンデルスゾーンが注目するまで忘れ去られていたというのは切なかった。2019/09/15
こぶた
8
★★★★ 読んでビックリ! 同時代の人に真価を評価されていなかったらしいが、派手でなくても質実剛健で堅実な人生を送ったと思っていた。ライプチヒでカントルになって以後は、音楽以外のことでいじめられて時間も割かれ、それでも作曲には手を抜かないというか抜けない人だったのだろう。最後はヤブな眼医者のために失明した上命を落とし、貯えも失い、彼の偉大さを理解し、ずっと協力してきた妻マグダレーナが貧困の中で死んだという悲惨さに、本当に驚いた。ある意味、その音楽が時代の人に受けていたショパンの方が報われていたのかも。2021/06/22
ムーミン2号
6
バッハの音楽は大好きでよく聴くのだが、何せ1000曲以上ある。カンタータだけでも200曲、オルガン曲やチェンバロのための曲集などまだまだその広くて深~い世界のほんの入り口にいるだけだ。しかしその65年の生涯についていかほどのことを知っているか、と問われてみれば、首をかしげるしかない。その点をわかりやすく小説風に描いている本書は、いろいろと知ることができてよかった。バッハの生涯は無知と無理解と闘ったものであったが、名演奏家としての名声の割には大作曲家としての評価は当時はされなかった、ということもよくわかる。2024/02/25
*takahiro✩
4
またまたバッハの本。バッハとベートーベンには敵わない。環境や教育である程度の技術は伝承出来るのだろうが、才能は遺伝しないんだな。2019/05/19
かきつばた
2
家庭、仕事、上司、健康、こんなに悩まされながらも、あれだけの作品をのこす不屈の人だったんですね。メンデルスゾーンが正当に評価してくれて本当に良かった。