内容説明
山は人間の想像を超える場所。熟達の筆が冴える山と人間の織りなす小宇宙のようなエピソード86話。
目次
第1章 霊鬼的な話
第2章 奇妙な話
第3章 遭難事故の話
第4章 動物並びに昆虫の話
第5章 悪い行ないの話
第6章 世俗的な話
第7章 情けない話
第8章 滑稽な話
第9章 知られざる謂れの話
第10章 人情話
著者等紹介
工藤隆雄[クドウタカオ]
1953年、青森市生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、新聞・雑誌を舞台に執筆活動を展開。毎日児童小説優秀作品賞、盲導犬サーブ記念文学賞大賞等を受賞。日本大学芸術学部文芸学科講師(ノンフィクション論等)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさ
25
工藤隆雄さんの山の不思議な話のシリーズ(かな?)。山で出逢う出来事には説明がなかなかつかないこともある。そんなことあるよね、と頷きながら読む話や、噂話のようなものも(こちらは流し読み的に)。山に入るときには何か大きな大きなものに包まれている感じを受けるのだけど、なぜ?というよりも感覚的に受け止めておけばいいのだろうと考えています。2023/02/19
roatsu
15
今は昔、某が…というスタイルで綴られる山の拾遺話の数々。味わい深く読める話ばかり。虚実曖昧だったり、んなことある?的な話もあるがそもそも世の不思議や人の口伝てで紡がれてきた物語はそういうものだし、今風の価値観で突き詰めるのは野暮であろう。山という舞台は美しく豊かで時に恐ろしい自然やそこに分け入ることで初めて発露される人間性など、そうした物語を生む故郷なのだと再確認する。山の世界も強迫的で余裕のない現代的価値観やIT技術が席巻し始め、往時のようなどこか煙に巻かれる掴みどころのない神秘性がだんだん薄れているよ2023/04/04
アカツキ
10
山小屋の主人や登山者から聞き取った山での不思議な出来事、遭難事故、滑稽話など86話収録。遭難で亡くなった家族の遺体を見つける話、空襲で生き別れた母と姉と再会する日を夢見て体力づくりをする老婦人の話に胸を打たれた。が、話のチョイスに首をかしげるようなものもちょこちょこ。単なる不倫話とか。でもこういう話もずっと先の未来では面白く感じられたりするのかな。最近、古代中国のエピソード集「世説新語」でどうでもいい話を楽しんだからバッサリ斬れない。2023/02/07
くまお
4
山では不思議なことが起きたり、幽霊など怖い話もあるけれど、一番怖いのは人間だなとあらためて思いました。2023/06/28
やん
2
いろんなジャンルに分かれている話を1冊の本にまとめるなら確かに今昔物語の形式は悪くない。ただ、すべてのエピソードの最後が「…という話である。」という要約で終わるのが読み進めるうちに気になってきて最後の方は辛かった。それはなくてもいいんじゃないのかな。山怪シリーズの方が好みかも知れない。2023/06/15
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