内容説明
日本第二の高峰、南アルプス・北岳(標高3193m)周辺に建つ5軒の山小屋―白根御池小屋、広河原山荘、北岳山荘、北岳肩の小屋、両俣小屋。それぞれの山小屋には、小屋番やスタッフの経験から生み出された、さまざまな工夫や思いがあった。小屋開けの苦労、山岳遭難救助の実態、登山道の整備、山小屋生活の日常、山小屋で提供される食事へのこだわり、知られざるエピソード、小屋番の素顔など。小屋番やスタッフへのインタビューを通じて山小屋の裏側を描き出す、著者渾身のノンフィクション。
目次
白根御池小屋
広河原山荘
北岳山荘
北岳肩の小屋
両俣小屋
両俣小屋取材記―二〇一九年七月
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年、山口県生まれ。山梨県自然監視員。2008年に刊行した『約束の地』(光文社)で、第27回日本冒険小説協会大賞および第12回大藪春彦賞を受賞。13年には『ミッドナイト・ラン!』(講談社)で、第2回エキナカ書店大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
114
雄大な自然の中で…。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。 白根御池小屋。広河原山荘。北岳山荘。北岳肩の小屋。両俣小屋。両俣小屋取材記-2019年7月の短編6話。 「南アルプス山岳救助隊K-9」の著者・樋口明雄さんが、本の舞台となる北岳の山小屋を取材した物語です。 この本を手に取ったのは、表紙の写真に惹かれたことと(笑) 「南アルプス山岳救助隊K-9」を読んでその舞台となる北岳を見たいという気持ちが勝りました。 若い頃には、よく山に登りました。山小屋にもお世話になりました。 🌿続く→2021/05/30
hiro
91
山岳小説を時々読みたくなる。しかし、日本百名山と呼ばれるような山に登ったこともなく、できれば乗り物に乗って登りたいと思っているが、読メで「山小屋」の裏側を描き出すノンフィクションというこの本を知り、すぐ読みたくなった。まず、宿泊場所、食事の提供などの接客業でありながら、山での遭難者の救助を担っているという山小屋の特殊な位置づけと、さらに建つ場所等によってそれぞれの山小屋に特徴があることもよく理解できた。もちろん、そんな山小屋で一度泊まって登山をしてみたくなるとともに、樋口さんの山岳小説も読みたくなった。 2020/10/15
ゆみねこ
78
大好きなK9シリーズの舞台である南アルプス北岳。五つの山小屋を著者が取材し綴ったノンフィクション。小説の中に登場したエピソードも!2021/05/15
goro@80.7
76
去年の夏、念願の北岳へ登りましたがその記憶が蘇るようでした。連載中は飛び飛びで読んでましたがやはり一冊になると北岳やそこで生きる人々の想いがギュッと詰まって良いですなぁ~。真っ赤に燃えた朝焼けが懐かしくまたライチョウの親子は無事なのかと思わずにはいられない。小屋の人たちは救助活動に登山道、トイレの整備なども行っている事には頭が下がります。すし詰めになる寝床にカエルの大合唱と苦行もありますが、袖振り合うも他生の縁。それぞれの山のそれぞれの小屋にも色々なドラマがあるんだと思うね。山の季節はすぐそこだ!2020/05/01
けんとまん1007
74
山小屋。以前、山歩きをしていた頃、お世話になった山小屋もいくつもある。自分が行っていたのは、北アルプスなので、ここで取り上げられている山小屋ではないが、共通するものは多い。山小屋の存在意義、特に、命を守るという点だ。遭難があった場合の救助が大きい。そんな山小屋に携わる人たちの物語で、5つの山小屋それぞれの味わいがあって興味深い。置かれた環境の違い、主人の考え方の違いなどもあるだろう。しかし、限られた環境で、基本、自分たちで対処するという点は大きいし、だからこそ人間的はふれあいも深くなるのだろう。2020/08/14