感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
127
クライマーは、登攀ルートを「ラインを描く」と言う。登頂後、自分が登った山を空から眺めても、そのラインが見えると言うから恐れ入る。日本人女性で、登山界のアカデミー賞と言われるピオレドール(金のピッケル)賞を授賞。実在したモデルのバイタリティーと人生観に圧倒されます。世界の8000m級の山々を登攀した彼女が、国内の2000mにも満たない山で滑落死。早世したのが残念でならないです。極限の状況下に勇んで進み、リアルに生と死の狭間で、己の生き方を見つめるクライマーって、ホントにすごいと実感できました。
KEI
33
今年の1月にラジオ番組山カフェで知った本。本書は2015年に北海道で帰らぬ人となられた、クライマーの谷口けいさんの生涯を残しておきたいとの思いで書かれた。登山界のアカデミー賞と言われるピオレドール賞を受賞しながらも、肩書を問われると「山を登る旅人かな」とはにかんで答え、ストイックな挑戦も笑顔を絶やさない。そんな幾つかのエピソードを丹念に掬い上げていた。山でもどこでも多くの出会った人に影響を与え、「けいさんに出会わなければ今の自分はなかった」と言わしめたけいさんは今も輝いているのだろう。2023/07/15
タカボー
6
2015年山で亡くなった谷口けい。登山家の言葉ってグサグサ心に刺さるし、生き方を考えさせられる。「世界中にある素晴らしい人生のスパイスをゲットしに」死ぬかもしれないけど、行かずにはいられない気持ちが理解できてしまう。自分も人生の全ての事にそういう気持ちで向き合いたいなって思わせる。でも本書の最大の魅力はそこじゃない。彼女が周りの人間に与えた影響に主題を置いてる点が良いし、彼女に影響を受けた人達の言葉がまた心に刺さる。取材も丹念だし、数ある登山家評伝の中でも屈指だと思う。2025/07/27
m
6
K2未踏ルートに挑んだ平出氏の元パートナーということで読んだ一冊。 背中を押してもらえる言葉がたくさんあった。 けいさんは当時の仲間達だけでなく、読者である私の背中も押してくれたのだ。 私自身、私生活で挑戦するか悩むことがある。 だが、まずはやってみる、そんなマインドになった。2025/06/18
a.i
6
★★★今年7月にK2で滑落して亡くなられた平出和也さんとのエピソードも多いので、読んでいて苦しくなった。 この本の著者が先月、当時谷口けいさんが再挑戦する予定だったパンドラ北東壁を完登したというニュースを先ほど偶然雑誌で読んだ。驚くほどタイムリーな読書だった。2024/12/17