感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
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クライマーは、登攀ルートを「ラインを描く」と言う。登頂後、自分が登った山を空から眺めても、そのラインが見えると言うから恐れ入る。日本人女性で、登山界のアカデミー賞と言われるピオレドール(金のピッケル)賞を授賞。実在したモデルのバイタリティーと人生観に圧倒されます。世界の8000m級の山々を登攀した彼女が、国内の2000mにも満たない山で滑落死。早世したのが残念でならないです。極限の状況下に勇んで進み、リアルに生と死の狭間で、己の生き方を見つめるクライマーって、ホントにすごいと実感できました。
KEI
32
今年の1月にラジオ番組山カフェで知った本。本書は2015年に北海道で帰らぬ人となられた、クライマーの谷口けいさんの生涯を残しておきたいとの思いで書かれた。登山界のアカデミー賞と言われるピオレドール賞を受賞しながらも、肩書を問われると「山を登る旅人かな」とはにかんで答え、ストイックな挑戦も笑顔を絶やさない。そんな幾つかのエピソードを丹念に掬い上げていた。山でもどこでも多くの出会った人に影響を与え、「けいさんに出会わなければ今の自分はなかった」と言わしめたけいさんは今も輝いているのだろう。2023/07/15
a.i
4
★★★今年7月にK2で滑落して亡くなられた平出和也さんとのエピソードも多いので、読んでいて苦しくなった。 この本の著者が先月、当時谷口けいさんが再挑戦する予定だったパンドラ北東壁を完登したというニュースを先ほど偶然雑誌で読んだ。驚くほどタイムリーな読書だった。2024/12/17
宮崎太郎(たろう屋)
4
著者の大石明弘さんがラジオで著書について話されたり、平出和也さん、中島健郎さんのK2遭難事故についてお話されているのを聞いて本を手に取りました。アルピニストたちのその生命の強さと弱さと人としての魅力が強烈でした。大石さんの文章ももっと読みたい思います。山に生きている人たち物語をもっと知りたい。2024/08/09
sadaru
4
クライミング界のアカデミー賞と称されるピオレドールを受賞した谷口けいさんの足跡をたどり、明るく前向きに山旅をし、仲間や周囲の人々に影響を与えた生涯を描いている。「生」のきらめき、「挑戦する心」がよくわかり、著者が谷口さんを想う気持ちが伝わる。/私はハイキング程度の山登りだが、冒険だといつも勘違いしている。登れかなぁの不安とワクワク感が好きなのかも。山は人それぞれの楽しみがあるから良いのだ。ヤマ友さんからお借りした一冊。2024/06/12