内容説明
山は少し恐い。いや、かなり怖い―人知を超えた山中での不可思議な体験談を、各地の猟師や林業従事者、山里に暮らす人びとから収集し、「現代版遠野物語」として絶賛されたベストセラー第三弾。本作ではシリーズ初となる北海道取材を敢行。文庫版特典として、興味深い取材余話や未掲載のエピソードを綴った「山怪備忘録」を収録。
目次
1 戸惑いの森(優しい狐と幻の椿;浮き上がる人;魂との遭遇 ほか)
2 闇へ続く道(座敷わらしと山の神;追いつけない鈴音;片品村の出来事 ほか)
3 霊域の生活(火の玉ラッシュアワー;ツチノコの里;追いかけてくるモノ ほか)
著者等紹介
田中康弘[タナカヤスヒロ]
1959年、長崎県佐世保市生まれ。礼文島から西表島までの日本全国を放浪取材するフリーランスカメラマン。農林水産業の現場、特にマタギ等の狩猟に関する取材多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
41
著者が、丁寧に聞き起こした山村での奇譚を集めた一冊です。私は、紀伊半島のちょうど真ん中に住んでいます。奈良県の吉野という所です。この本に収録されているような、山での奇譚はしばしば耳にします。大蛇であったり、火の玉であったり、人や動物の死に際の「徴」であったり。まさに怪奇ですが、不思議と怖くはありません。口頭伝承による民俗もやがては廃れていくのかな、何だか寂しいなと思いつつ読了しました。2021/07/11
田中
29
火の玉の目撃例が多かった。赤色と青色の二種類は、見える人と見えない人がいるのが不思議だ。昔から山中で異常な様相で行方不明になる人が多いらしい。山岳ガイドが登山の休憩中に、ほんのちょっと先の道の様子を見に行ったら戻ってこない。荷物も登山客も残したまま行方がわからなくなってしまう。いったいガイドさんに何があったのか、山で一番怖いのは、誰もが遭遇するかもしれない迷宮だろう。慣れた山道や知った場所で発生するから防ぎようがないのだ。山は奇界に入る空間が突然現れ呑み込んでしまうのだろう。【日本の夏は、やっぱり怪談】2022/08/05
トムトム
28
ホンドギツネは騙すけれど、キタキツネは騙さない?言われてみれば。火の玉は死体から出た燐(リン)だと言われているが、それを実際に確かめた実験はない。言われてみれば!森林保有率が70%の国、日本。山の精霊たちはまだ生きているのかもしれません。実際真っ暗な山、一度怖くなるとパニックになりそうなぐらい怖くなります。何かあるに違いない。2021/09/16
流石全次郎
16
著者が集落などに取材に回って集めた「山人が語る不思議な話」集の3巻目。巻末に記されていたけど、著者の中に「山怪」の定義を持って紡がれた短編集。謎の光、キツネ、謎の音、すれ違った老婆、大蛇云々。そうはいってもこれまでの3巻の中では一番怖く感じた。巻末では続編もしっかり予告されています。2022/04/27
こちょうのユメ
13
このシリーズも3巻目。著者の意図はオドロオドロしい怪談を探すのではなく、あくまでヤマで生活する人々が出あった不思議現象の聞きとりだ。北海道編も加わり話は満載。また西日本では、キツネよりタヌキに化かされるエピソードが多いのも特徴。子供や大人の行方不明な話など、事件なのか事故なのか、あるいは神隠しなのか不可解。「赤い部屋」「奥山の女性」など、心霊スポット的な話もあり多彩である。著者はコロナ禍でなかなか取材できないなか、Naviが役立たない怪異現象にもめげず、車で年間2万キロを走破する行動力はすごい。2023/01/09
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