内容説明
山人たちが語る「山」と「溪」。山里の暮らしが生き生きと蘇る名著、待望の復刊。
目次
雑魚川職漁師の軌跡
やまめ床二代
妙高の山に生きる
伝承毛鉤とケンカ釣り
相木村の川漁師
田子倉湖の刺網漁
山椒魚と半世紀
伊那谷の虫踏み漁
熊語り
出逢いの溪、深山の里にて
出羽三山、施薬小屋物語
背負子の人生
竿師・正勇作
カジカ滝
魚津、山女の村にて
著者等紹介
戸門秀雄[トカドヒデオ]
1952年、埼玉県生まれ。考古学を志すも溪魚の魅力に取りつかれ、溪流浪人を経て1976年に埼玉県入間市に溪流魚と山菜、キノコを扱った郷土料理『ともん』を開店。以来、趣味の溪流釣りと食材集めで各地の溪流を訪ね歩き、併せて職漁師の暮らし・漁法・漁具を記録している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みや
9
渓流釣りを通じて出会った昭和の職漁師や山で生活する人たちから聴き取った話を集めた一冊。放流主体の現在の渓と比べ、昭和30年代頃までの無尽蔵ともいえる豊かな川の様子がとにかく羨ましい。渓相を愛で、渓魚に親しむ余裕は圧倒的な魚量あってこそなれど、あくせくと釣果だけを追い求めがちな自らを反省。いずれ劣らぬ名人たちの昔語りを堪能するほどに、年老いて愉しめなくなった時の心情を察し、切なくなる。2021/08/30
CTC
6
17年ヤマケイ文庫、初出は同社の釣り雑誌の86年頃の連載で、単行本は90年刊行。人里離れた山奥のお話ではなく、里山周辺の川や山で仕事をする方の話を広く拾っている。漁/猟師だけでなく、竿師や薬湯を供する方なども。出色は尾瀬の“背負子の佐久間”。狭い道故に尾瀬は荷馬禁止。昭和45年にヘリが飛ぶまで、背負子が物流を担った。その距離12㎞を、佐久間さんは164㎏を筆頭に2日で3往復計394㎏運んだというから尋常ではない。新田次郎の『強力伝』並だ。 著者は埼玉の入間で郷土料理屋をされている。行くしかない!2018/11/15
うぃっくす
4
ヤマケイ文庫…しぶいな。もともと書かれたのが30年くらい前だからかなり古いんだけど川とか溪とかで渋く生きてる人たちの話。釣りとか釣り人未知の世界すぎて何の魚の話してるのかもわかんなかったけど素朴でよかった。昭和の原風景。2018/09/16
志村真幸
2
著者は埼玉を拠点に全国を釣り歩いたという人物。渓流魚・山菜・キノコ料理店を開いたり、ダイワ精工のアドバイザーを務めたりもしたとか。 本書は、1990年に出た単行本の文庫化。 各地の職漁師への聞き書きで、信州・志賀高原のイワナ釣り師、妙高のイワナ釣り師・山菜採り、奥只見・田子倉湖の刺網漁師といったひとたちにインタビューしている。魚のたくさんいた頃のひとが、生き生きとした口調で描写され、おもしろい。ほかにも伊那谷のザザムシ漁師、熊撃ち、ボッカ、竿師なども。2019/03/14
ちば
2
背負子夫婦の半生を記した「背負子の人生」…夫婦の写真からにじみ出る人生の重みにこみ上げてくるものがあります。2018/03/12