内容説明
他の多くの命をいただいている私たちが、自然に返せるものはウンコしかない。著者は、野糞をし続けて40年。日本全国津々浦々、果ては南米、ニュージーランドまで、命の危険も顧みず、自らのウンコを1万2000回以上、大地に埋め込んできた。迫り来る抱腹絶倒の試練。世界でもっとも本気にウンコとつきあう男のライフヒストリーを通して、ポスト・エコロジー時代への強烈な問題提起となる記念碑的奇書。
目次
夢は仙人
怒りの野糞
野糞率アップへの道のり
野糞の醍醐味
野糞とキノコの幸ウンな出会い
ネパールで学んだこと
究めればインド
伊沢流「正しい野糞法」
お尻で見る葉っぱ図鑑
消費されゆくキノコ
尻は野山を駆けめぐる
美は糞上にあり!
野糞率一〇〇%へ
千日行に挑む
襲いかかる試練
「糞土師」誕生
ウンコはいかにして土に還るか
ウンコに集う生きものたち
深まる野糞論議
トイレのない世界
著者等紹介
伊沢正名[イザワマサナ]
1950年、茨城県に生まれる。中学、高校と進むうちにしだいに人間不信に陥り、高校中退。1970年より自然保護運動をはじめ、1975年から独学でキノコ写真家の道を歩む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
325
最高。キノコを研究していた人物がひょんなことから野グソをはじめ、最終的にはトイレで用を足さなくなるまでのいきさつを語りつつ、初心者のための野グソの作法を伝える、ノンフィクション実用書。これ一冊で、誰でも、どこでも、野グソができるようになる。しかも、言葉の選び方やユーモアのセンスが抜群なので、電車で読んでいると思わず噴き出しそうになるおもしろさ。しかも最高なのは、解説にもあるとおり、著者本人が非常に常識人で、自身の行動に抵抗感がありながらやっているところが、かなり興味深い。2017/10/02
マエダ
62
著者も最初から常軌を逸っしていたわけではない。一般人が高みへ昇る過程を本書からは垣間見れるところが良い。2018/11/20
goro@the_booby
51
林道ツーリングをしている時、出物腫物ところ選ばずで初めてしましたが、俺のも土に還って貢献したのでしょうかね。忌避してしまうウンチのこれでもかとの野糞へかける熱いお話でした。食物連鎖の鎖からは外れている人間は何を還せるのか考えちゃうね。みんなしてるのにウンチの話しないし研究してる人いるのかな?伊沢さん凄いわ。袋とじもちゃんと開けたけど、自然は凄かった。いやぁ~大変面白く考えさせられた本でした!2021/10/26
hatayan
48
野外で大便をする「野糞」に目覚めたキノコの写真家の著者が、ウンコと自然保護について詳しい観察記録を添えて熱く語る一冊。時間とともに姿を変えるウンコを実際に賞味して変化を確かめる姿勢には突き抜けた個性を感じざるを得ませんでした。ウンコは必ずしも汚いものではなく自然の中で循環する資源とするエコロジカルな思想は一定理解しますが、ウンコは不潔で遠ざけられるべきものと刷り込まれてきた自分にはキワモノの感覚を最後まで拭い去ることができませんでした。人間のウンコが変化していく姿を写した巻末の袋とじをまだ開けずにいます。2021/01/10
Yamazon2030
44
2016(38)読了娘が図書館で借りてきたうんこの絵本に衝撃を受けて、著者の本を購入。本屋で予約してする際、エッチな本よりも恥ずかしかった。内容は、著者が半生が認められながら、きのこと野糞に惹かれていく様が軽快なタッチで描かれる。始めは笑いながら読んでいたが、途中から野糞とキノコの研究や生態系のあり方など真面目なものへと変容していく。人間のうんこはきのこや動物・昆虫のご馳走だなんて目からウロコ。お尻拭きの葉っぱの研究にびっくり。とぐろウンチの写真になおびっくり。今年最高の一冊となりそうです(≧∇≦)2016/08/21