内容説明
家族と、友と辿った喜びに溢れる山々。『日本百名山』執筆中の1959~1962年の山行を中心に、深田久弥にとっての特別な山・雨飾山、友人との朗らかな山行・御座山、家族との北海道の山旅など23編の紀行を収録。山への愛情と情熱、そして思索が見事に融合した山の紀行文学の代表作を復刊。
目次
斜里岳
阿寒岳
羅臼岳
後方羊蹄山
早池峰山
守門山
安達太良山
雨飾山
火打山
武尊山〔ほか〕
著者等紹介
深田久弥[フカダキュウヤ]
1903(明治36)年3月11日、石川県江沼郡大聖寺町(現加賀市)に生まれる。第一高等学校をへて東京帝国大学文学部哲学科入学。高校・大学時代に丹沢、大菩薩、奥秩父、八ヶ岳、朝日連峰、尾瀬、薬師岳などに登る。その頃、「新思潮」ほかの同人誌に参加。東大在学中に出版の改造社入社、編集生活を送る。24歳のとき小説「実録武人鑑」を発表。1944年、陸軍少尉で中国戦線へ。1946年復員。戦後は、登山・探検関係を中心に執筆活動。1964(昭和39)年、『日本百名山』で、第16回読売文学賞(評論・伝記部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっちゃん
5
名著日本百名山の基となった本。文章も長く紀行文要素が強い。おざなりに読むのが嫌なので一日一編登山地図を片手にじっくり読んだ。どの山も登っているのでその分読みやすく当時と比較して楽しめる。百名山より人との触れ合いが多く描かれている文は人間味があって面白かった。まあ人脈が凄い。2021/03/05
むん
5
1960年頃の登山紀行。アプローチが長いなぁ。登山口から山頂や稜線は現在と違わないけど、アプローチが決定的に違う。50年前でさえ深田さんはダム開発の林道でアプローチを簡略化することに違和感を感じている。現在、ロープウェイやリフトだと自分の足で登った時の達成感がないと感じるのと同じなのだろう。便利なことは良いのだけれど、楽しみが減るのは嫌なんだよな。『暮らしは低く、志は高く』って言葉が良いなぁ。『真の文明は山を荒らさず、川を汚さず、村を破らず、人を殺さざるべし。』という田中正造翁の言葉を思い出した。2014/06/22
Roadblue
2
深田が「日本百名山」を著す前に週刊誌に連載された山紀行です。自分が登って気に入った山や自分が登りたいと思っている山が「わが愛する」と言われると嬉しくなって先を読むのに夢中になります。特に火打山のところでは、深田が仲間と嬉々としている様子が読んでいる側まで生き生きと伝わってきます。週刊誌の連載企画ということで、それぞれの土地に明るい岳人に道案内を、荷物持ちを随行させての大名行列のような山行となっているものもあるのは残念ですが。あと「大台ケ原山」も入っていますが、「わが愛する」山の記述にはなっていません!2015/12/26
PETE
1
解説で、作者自身の倹しい暮らしは語られているが、選ばれている山行があまりにもブルジョワ的なコネに頼り過ぎていて、日本のアルピニズムの根本に疑念を抱かざるを得ない。また、紙幅の制限もあるのだろうが、自然描写や人間観察が文体にあまり現れず、文体が痩せすぎていた。2020/09/12
Kuliyama
1
何の気負いもなく楽しく、思いついたら山に登る、羨ましくて憧れます。2014/09/30