内容説明
神よ、晴れてくれ!そんな願いもむなしく、山頂を目前に悲劇の幕は切って落とされた。飢え、凍傷、そして仲間の死。ズタズタに傷ついた肉体を引きずりながら、孤独の下山を開始する…。1982年5月、風雪のミニヤコンカから19日間にもおよぶ苦闘の末、奇跡の生還を果たすまでを描いた感動の手記。
目次
1 頂上に騙された
2 なぜ突っ走ったのか
3 神よ、晴れてくれ
4 魔の山をさまよう
5 トランシーバーが凍った
6 菅原が転落した
7 テントが消えた
8 菅原と別れた
9 幻聴を聞いた
10 決死の絶壁
11 火の鳥になりたい
12 足よ手よ、僕はまた登る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
38
実際の記録作品。中国の高峰「ミニアコンカ」に登山挑戦した作者たちが、悪天候などに見舞われ遭難してしまう。残念な事であったが、仲間のキャンプが作者たちを遭難死と判断して、先に山を降りてしまう。残された作者は、19日間の死線を乗り越え下山を果たす。しかし、全ての指と膝から下の足は、凍傷により失う事となった。限界に達した状態とは、こういうものなのか幻覚に幻聴、心が動かなくなる。生への執着の強さに驚かされ、手足を無くした後も再び山に登ろうとする、たくましさに頭が下がる。だが、計画の甘さは忘れてはならないと感じた。2014/11/25
gtn
13
生への執着。それがあれば、仲間を見捨てた慚愧、逆に仲間に見放された憤りさえも、生命の炎にくべる薪となる。2022/02/06
e r i .
9
状況は悲惨で壮絶だった。仲間が交信不能を遭難死と勘違いし先に撤退してしまった事も酷いし写真に載ってる、後に切断してしまった手足も見ていいんだろうか?と思ってしまう。この写真はショックだった・・・。でも芥川龍之介の小説の引用や、中原中也の詩がいっぱい出てきて読み物としては、なんというか若さを感じる。途中からザックまで無くしてしまった菅原さんが可愛そうで仕方がないです。あとこの本は専門用語がすごく多かった。2014/09/05
tai65
2
星4・52017/02/17
のほほん堂
1
ボロボロになっての千切れ千切れになっての下山の様子に『八甲田山死の彷徨』を連想。19日間、山頂付近の標高7500mから標高差4600mを下山。62kgあった体重が32kgに。何とか小屋のあるCBCにたどり着けたのが生還の要因。でも、こんなに目に遭って両足が義足になっても山が止められないものかね。2018/04/20
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