内容説明
エーゲ海に面したトルコのヒサルルック遺跡は、シュリーマンの発掘以後、1世紀以上にもわたりトロイアとして発掘されてきた。その根拠はみつかったといえるのだろうか。掘りつくされたヒサルルックが今なお多くの研究者を惹きつける理由は何か。日本の一考古学者が追う。
目次
シュリーマンと私
第1章 トロイア再考
第2章 層序を理解しない発掘
第3章 シュリーマンの世界
第4章 虚構に隠された真実
第5章 ヒサルルックの周辺踏査
第6章 ヒサルルックの発掘
第7章 シュリーマン以後の発掘
第8章 アナトリアの後期青銅器時代の終焉
第9章 コルフマンが追い求めていたもの
著者等紹介
大村幸弘[オオムラサチヒロ]
1946年生。早稲田大学第一文学部西洋史学科卒業。アンカラ大学言語歴史地理学部中近東考古学科博士課程修了、文学博士。1972年以来、トルコ各地の発掘調査に参加、現在、アナトリア考古学研究所所長
大村次郷[オオムラツグサト]
1941年生。多摩芸術学園写真科及び青山学院大学卒業。写真家・濱谷浩に師事。おもにオリエント、インド、中国、トルコなどを中心にフォト・ルポルタージュを手がける。NHKドキュメンタリー番組『シルクロード』『文明の道』その他のスチールを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
4
小アジア半島が実に多彩な歴史の重層する地域であることを再認識。シュリーマンへも疑念も理解出来る。興味深く読めた。2022/10/07
uusak
3
美しい写真が数多く掲載されており、最後で、写真家が作者の兄であると書いてあり納得した。また夫人も考古学者で現在トルコで活動しているとのこと。シュリーマンはトロイアを本当に見つけたということには疑問符がつくようだが、発掘にかけた情熱だけは間違いないようだ。2014/09/05
in medio tutissimus ibis.
2
シュリーマンの当時としても現代から見てもけた外れの熱意は「シュリーマンなりのトロイア」ヒルルサック遺跡を発見させたが、とうとうそれを真実トロイアであるとは立証できなかった。決め手とされたながらその実トロイアの時代より千年もズレがある火事跡は、アナトリア全土で見いだされるヒッタイト滅亡時の災禍によるものと同様である。その轍を、遺跡を襲ったホメロスを夢見る多くの考古学者たちも踏んでいる。作者は、トロイアを立証するためには、その信念に不要と打ち捨てられた排土をこそ今一度ふるいにかけるべきではないかと述懐する。2018/05/18
陽香
2
201403302016/07/10
さんまさ
1
ハットゥッサ、ヒサルルックを焼いたのはどんな民族なんでしょうねぇ...古代ロマンを感じます(*´ω`*) 大村先生の真面目で緻密なお人柄そのものな著作。今年はコロナ禍で発掘始められるのか不安ですが、少しでも真相に近づく成果があるといいですな。2020/03/28