出版社内容情報
800年使われた暦を修正した渋川春海。幕府の保科正之を囲む教養人との交流、失われた古暦を復元する道程と、社会的影響を描く。800年以上使われていた暦を修正したのは、幕府の保科正之に改暦を命じられた渋川春海であった。正之を囲む教養人との交流、失われた古暦を復元する迄の道程と、社会的影響を描く。
林 淳[ハヤシマコト]
著・文・その他
内容説明
宣明暦から貞享暦へ。八二三年間の改暦の空白に終止符を打ったのは、保科正之から改暦を命じられた碁方の渋川春海であった。保科正之を囲むサロンには、吉川惟足、山崎闇斎らが集まり、『日本書紀』神代巻を解読し、そこに理想の世を求めていた。春海もまた改暦のための観測や暦算を行いながら、『日本書紀』を読み、神武天皇がつくった失われた古暦を求めた。暦の始まりを神武天皇即位とした春海の復古主義は、時をこえて神武紀元の皇紀をこの国に生みおとした。
目次
1 暦と改暦
2 渋川春海と保科正之
3 改暦までの道のり
4 改暦の社会的影響
5 春海と土御門泰福の交流
著者等紹介
林淳[ハヤシマコト]
1953年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専攻、宗教学・日本宗教史。現在、愛知学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
13
貞享暦への改暦をめぐって、朝鮮との対比など改暦の世界史的意義や保科正之ら当時の為政者や学者たちの儒教的教養のありようについて言及するほか、渋川春海自身の思想、特に彼が中国暦の伝来以前に日本固有の暦法があったと固く信じるなど日本中心の復古主義的な信念を持っていたこと、中国を敢えて「西土」と呼び、中国暦をそのまま受容することは中国の属国となることを意味すると信じていたことなど、小説『天地明察』からは見えてこない彼の思想的暗部というか限界、思想史的な位置づけについてまとめている点が面白い。2018/12/13
海
1
なかなか読み終わらなかった、、、。読んでも内容が頭に入ってこなくてこんなに時間がかかってしまった。私が知りたかった二十四節気七十二候については書かれていなかったのでとても残念だ。しかし、日本独自の暦が作られ、それが世間に広まるまでの渋川春海の努力と周りの支えがよくわかった。2019/04/11
hr
1
小説「天地明察」で存在を知った渋川春海の歴史的事実を追いかける本。なかなか影響力のある人物だったのだな。ところで小説のほうはまだ読み終わっていない。2019/02/03
Miyagawa Yoko
0
国学との関連2019/03/03