内容説明
平安遷都を実現し、蝦夷勢力を撃破した桓武天皇。しかし、百済系渡来氏族の母をもつ桓武は、出自の点で大きな弱点を抱えており、その立太子と即位を支持しない勢力が少なくなかった。発足当初の桓武政権は、権威を認められなかったがゆえに、造都と征夷の二大事業を推進することが宿命づけられたのである。桓武が自身の弱点をバネにして、難事業を成功に導くとともに、積極的に政治改革を進めて、傑出した帝王と呼ばれるにいたる過程をみてゆく。
目次
1 山部親王の登場(山部王の誕生;父白壁王の即位 ほか)
2 天智系皇統と長岡遷都(桓武天皇の即位;反対勢力の追放 ほか)
3 平安遷都と征夷戦(平安遷都;平安遷都の意響 ほか)
4 晩年と遣唐使(后妃と皇子女;和気氏と平安新仏教 ほか)
著者等紹介
西本昌弘[ニシモトマサヒロ]
1955年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻、日本古代史。現在は関西大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こと
5
大学の課題のため、2度目の読了。 桓武期は関心があることが多いため、課題をもって読むことができた。簡潔にまとめてあるため、内容は浅いが、桓武天皇の時代の災異や怨霊、平安新仏教、遣唐使に至るまで網羅的な本である。2020/05/27
rbyawa
2
h012、その後千年続く平安京を作り(まあ、その建設時点で身の丈に合わなくても、長年の使用に耐えるようにしたくらいはご愛敬として)、空海と最澄を大陸に送り仏教の新展開が起こり、東北への侵攻は大きく進展し、という桓武天皇ではあるものの、その生母の身分が低かったために天皇位に付く・いも自分の血統に皇位を固定するためにもたくさんの血が流れ、その結果としての怨霊の存在を生涯恐れ続けた、という話なのだけれども、御所のど真ん中に雷が落ちて大臣が死んだらまあ…リアリストの現代人でもさすがに信じそうな。不思議な人生だ。2017/01/24
ダージリン
2
桓武天皇は母親の出自が低く苦労したなどとは全く知らず、意外な感じがした。権力基盤が弱かったが故に長岡、平安と新たな都を築き、征夷にも注力したということも初めて知った。有名な天皇ではあるが、詳しくは知らなかったので勉強になった。このシリーズはコンパクトだが、人物を軸に時代の流れもポイントを押さえて解説してあり分かり易い。2016/08/13
タムーチョ
1
比較的に天皇陛下の中でかなり有名な桓武天皇。 その生涯は凄まじかった。 元々、身分の低い母親から生まれたというのは初めて知りました。 それなのに平安京遷都や蝦夷討伐による領土拡大、遣唐使の派遣(最澄、空海など) 一大プロジェクトを成し遂げた。 正しく帝王! また簡潔で読みやすく入門としても良いです。ページの上に解説もあります。 これを機に桓武天皇の関連する本は、読もうと思います。2020/05/19
たも
1
長岡京訪問本。まさかの山川リブレット。コンパクトで安くて良い。 出自の低さ、天武系からの脱却。けっこうイメージが変わる。あと即位も30代とか。歴史の教科書は年齢仮でも書いとくべきよね。 長岡京遷都の意味と長岡京があったからこその平安京というのがわかってよかった。そこなんかもやっとしてたのよね。怨霊たち、最澄空海、濃いキャラばっかだしドラマティックな出来事も多いしで大河ドラマにおすすめかと。2019/07/30