内容説明
古代地中海世界と中世ヨーロッパ世界が交錯する時代。多神教から一神教のキリスト教へ、古代キリスト教から中世キリスト教へ転換する社会の全体像を鋭く示すブラウン先生の歴史学講義。
目次
貧困とリーダーシップ―後期ローマ帝国における「キリスト教化」の一断面
「中心と周縁」再考―ポスト帝国期西ヨーロッパにおける文化伝播モデル
栄光につつまれた死―5~7世紀における死と死後の世界
著者等紹介
ブラウン,ピーター[ブラウン,ピーター][Brown,Peter]
1935年、アイルランドのダブリンに生まれる。1956年、オクスフォード大学ニュー・カレッジで学士号取得(中・近世史で最優秀成績獲得)。1956‐72年、オクスフォード大学オール・ソウルズ・カレッジの特別研究員。1970‐75年、同大学マートン・カレッジ中世史講師。1972‐75年、同大学オール・ソウルズ・カレッジ所属の大学講師として後期ローマ史およびビザンツ学を講じる。1975‐77年、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ・カレッジ中・近世史教授・史学科長。1978‐86年、カリフォルニア大学バークレー校歴史学・古典学教授。1986年、プリンストン大学歴史学科のロリンズ記念教授職に着任し、現在にいたる。1996年、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ・カレッジ名誉フェロー。イギリス学士院会員
後藤篤子[ゴトウアツコ]
1953年生まれ。法政大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
5
講演を三本収録してある。二つ目の「「中心と周縁」再考」ではピレンヌの都市中心論に疑義を呈している。「東地中海地域では、教会文化のネットワークは早くも550年には都市から離れ去ったようで…ネットワークは村落の教会や修道院に見出すことができます。このことを教えてくれたのは、とくにジョルジュ・タートのシリア北部の村落研究です。私たちがそこに見出すのは、「古典的」古代末期の様態にあった段階の帝国東部を特徴づけていた諸都市のピラミッドを、もはやその基礎細胞として利用してはいない、完全に教会的な構造の創出です。」2023/06/03
わたる
0
「古代末期」という研究分野を創り出したピーター・ブラウン氏が日本で行った講演を訳したもの。訳者・後藤篤子氏による巻頭の解説ではブラウンおよび古代末期研究に関して基本的なことが述べられている。貧困とリーダーシップ、「中心と周縁」再考、栄光につつまれた死という3つの構成で、教会および聖職者を軸としてそれぞれその役割、「地中海世界」観、死生観の変化を扱う。2012/06/23