内容説明
固有で共通の特徴がある一方、地域的な差異も大きいイスラームの“統一性と多様性”に視点を定め、ムスリムによる知の営みの諸相をたどり、イスラームとは何かを解き明かす。
目次
イスラームの統一性と多様性
第1章 イスラームの誕生
第2章 イスラームとは何か
第3章 歴史のなかのイスラーム
第4章 イスラームの知と文明
第5章 イスラーム変革の努力
著者等紹介
佐藤次高[サトウツギタカ]
1942年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻、アラブ・イスラーム史。現在、早稲田大学文学学術院教授、イスラーム地域研究機構長、東京大学名誉教授、東洋文庫研究部長。2006年から「NIHU(人間文化研究機構)プログラムイスラーム地域研究」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
19
タイトルのとおり、イスラームの成り立ちと歴史、スンナ派系法学4学派などの基礎の基礎ともいえる用語も説明している。また、イスラームにとっての重要な世界史上の出来事も把握しやすいので読んでいてまったく飽きなかった。イスラームでは早い段階で『書記学』という行政官僚向けの専門知識が整備されていたことが興味深い。また、当時の学者の典型的なキャリアの例も紹介されていたのも良かった。ナポレオンのエジプト遠征がイスラームに与えた影響の大きさも改めて知ることができた。2020/12/10
サアベドラ
8
<イスラームを知る>リブレットの第1巻。日本を代表するイスラーム史家佐藤次高氏によるイスラーム入門。本書は2009年刊行で、氏は2011年に亡くなられているため、おそらく遺作。同じ入門書の東長靖『イスラームのとらえ方』(<世界史リブレット>)よりも若干情報量が多い。でもまあ書いてあることはさほど違わないので、好きなほうを選べばいいと思う。2012/12/15
Go Extreme
1
六信と五行ー信仰の中心 信仰告白の重要性ーアッラーの他に神はなし クルアーンの神聖性ー神の言葉そのもの 天国と地獄の概念 イスラーム法/シャリーアー信仰生活や社会生活全般を規定 ジハードの思想 スンナ派とシーア派 預言者ムハンマドの死後、イスラーム共同体は指導者の選定 神秘主義/スーフィズムの登場 イスラーム文明の知的伝播 イスラーム都市文明の特徴ー 商業活動と宗教活動の密接な結びつき 教育と知識人/ウラマーの役割 奴隷制度の扱い カリフ制度の成立 現代のイスラーム改革運動ー国家体制の近代化・宗教的純化2025/01/10
佐藤丈宗
1
イスラームの誕生から発展までの概要を極めて簡潔明瞭にまとめた一冊。イスラーム概説を手軽におさらいするのに丁度よい難易度と分量である。 山川出版社「イスラームを知る」はオススメのシリーズ。他ではなかなか取り上げられない興味深いテーマを簡便にまとめているので、イスラームを立体的に理解する補助文献として最適。2016/03/01
西夏
1
一つ前に読んだイスラーム法通史に比べればもちろん掘り下げが浅い感じはする。しかしながら、イスラームの知を軸にイスラーム世界の概論や耳にするものの中身を知らない用語の発祥などを知ることが出来る。イスラームについて、普段気づくと個々の事象に詳しくなり全体を見渡す機会は意外なほど少ない。全体を見渡すことは求められているものの、それ自体は教養の範囲内と認識されているようで、勉強を始めてみるとそこにギャップというか、空白が生まれる。それを地道に埋めていくのも必要なのだろうと思う。2014/12/29
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