内容説明
中華、イスラーム、キリスト教ヨーロッパ。ユーラシアに出現した3つの世界の普遍原理はなにか。世界史を新しい切り口で考える。
目次
総論 普遍世界の鼎立
1章 イスラーム世界の出現(アッバース朝革命とカリフ位をめぐる戦い;アッバース朝政権とイスラーム社会の形成;古代末期の社会とイスラームの登場)
2章 西方キリスト教世界の形成(フランク君主権と教皇権;王国の統一性と多様性;並立する世界)
3章 ビザンツ皇帝の帝国統治と世界認識(八~十世紀の地中海世界とビザンツ帝国;八~十世紀のビザンツ帝国とマケドニア朝の系譜;『帝国の統治について』の著者と構成;「帝国」と「ローマ人の皇帝」;「帝国」とはどのようなものか)
4章 長安七五一年―ユーラシアの変貌(八世紀の中国大陸―武則天から玄宗へ;長安七五一年(天宝十載)
街のざわめき)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
27
歴史の転換期シリーズ第3巻。2020年刊。本書が扱う年代はだいたい6-9世紀、表題の750年はアッバース朝が成立した年。古代末期の北方遊牧地帯の民族移動に端を発する東西ユーラシアの大激震がようやく収まり、それぞれの地域で新しい国や統治の仕組みが模索されていた時代。フランクとアッバース朝では宗教が、ビザンツと唐では宗教に加えて法と儀礼が多民族をまとめる重要なファクターとして登場する。論集なので興味がない部分の記述は少々退屈だが、教科書的な通時的記述とは違った視点で各地域のあり方を考えることができるのはよい。2020/11/07
ピオリーヌ
12
『歴史の転換期3 750年 普遍世界の鼎立』を読んでいる。このシリーズは同時代の世界各地の様子をコンパクトに知ることができ、とても良い。一章はイスラーム世界、二章はフランク、三章はビザンツ、四章は唐。いわゆるアッバース朝革命について。アラブ人が支配者階級のウマイヤ朝を、マワーリー(非アラブ人)のアッバース朝が打倒したという一面的な理解しか無かったが、実像はマワーリーのみでなく、ホラーサーン地域へ派遣されていたアラブ戦士もアッバース朝勢力に加担していたという。新鮮な学び。2021/04/05
MUNEKAZ
12
アッバース革命の起きた750年。東に目を向ければ盛唐の極みであり、西を向けばビザンツ帝国が依然として地中海世界に影響力を持ち、さらにその果てではカロリング朝が産声を上げようとしている。イスラム圏にキリスト教ヨーロッパ、中華帝国と、現在まで続く世界の大枠が決まったかのような時代を、論集という形で一望する。いずれの帝国も、多民族をまとめ上げるために宗教や法の力を重要視し、独自の世界観を築き上げているのが印象的。そして日本も、総論で触れられているように、律令国家という新しい統合の形を模索しているのである。2020/09/01
numainu
0
評価C2024/09/24