出版社内容情報
十月革命で権力を握ったレーニンは、ソ連共産党の最高指導者として世界共産主義運動をつくりだした。その激動の生涯を追う。
和田春樹[ワダハルキ]
内容説明
ロシアは専制君主が支配する国であり、解放を求める人々の運動が絶えることのない国であった。しかし、20世紀になっても革命は成功せず、専制権力の国ロシアは世界戦争に突入した。専制の打倒を求めてきた革命家レーニンは世界戦争と闘うことに全力投球し、生まれかわった。世界戦争から解放されるにはドイツの「戦争社会主義」を採用すればいい。フランス革命に学び、テロルの発動も躊躇しない。十月革命で権力を握ったレーニンは、ソ連共産党の最高指導者として世界共産主義運動をつくりだした。さて飛躍の結果はどうなるのか。
目次
レーニンと名乗った理由
1 革命家の形成
2 志をえられぬ歳月
3 世界戦争のなかでの開眼
4 峻厳な革命指導者
5 レーニン最後の闘い
著者等紹介
和田春樹[ワダハルキ]
1938年生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。専攻、ロシア近現代史・現代朝鮮研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふみあき
14
著者は御年84歳、ロシア史の泰斗であり、左翼の活動家としても著名な歴史学者(ということは、本書の読了後に知った)。100ページ程度の小著だけど、決して平易な内容ではない。後継者であるスターリンの悪逆非道が際立ってるため、さほど目立たないが、レーニンも民衆反乱の鎮圧をはじめ、相当エグいことをやっている。2022/02/06
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8
レーニンは人生を活動に捧げ、家族もそれを全面的に支え、定職にほぼ就いていないことが興味深かった。現在ではあり得ないだろう。強烈な社会を変革するムーブメントがあり熱狂していたのだ。プロレタリアートは純粋な、世界の低さを見据えている理想だと思った。植民地を否定、帝国主義資本主義に敵対し、そのためには武力も辞さないところまでいく。フランスやアメリカの共和制とどこが異なるのか?この社会制度そのものの資本家への革命は。それは私有財産を持たないということだ。これは理想の世界を、天国を作ろうとしたのだろうと思った。2024/06/03
かんがく
8
レーニンについてはあまり良く知らなかったので、ロシア革命からスターリン後継までの流れがなんとなくわかった。当時のロシアの農奴解放令や対外関係などの背景、世界資本主義や社会主義などの思想的説明も丁寧でわかりやすい。スターリンとの確執などについては初めて知った。「世界史リブレット」シリーズは大学の講義以外で初めて読んだが、100ページで綺麗にまとまっていて、注釈も豊富なので、軽く知識を入れるには良いかも。「プロが書いて体裁の整ったwikipedia」みたいな感じで気軽に読んでいきたい。2018/07/07
バルジ
5
革命家レーニンを簡便に知れる一冊。レーニンの革命家としての理論的覚醒は意外に遅くそれこそ革命の最中であったのは興味深い。しかし何という皮肉か革命中はフランス革命におけるジャコバン派を標榜するもその大テロルの轍を踏まないと宣言していたレーニンだが、実際は食料の徴発と相次ぐ農民反乱に徹底的な弾圧を加え反対派を粛清、ジャコバン派を遥かに上回る被害を齎した。後のスターリン独裁の萌芽ともいうべき革命の惨状を生み出した点ではとても評価出来る人物ではない。2021/12/04
ア
4
国家資本主義論の受容、レーニン流のテロル、スターリンとの駆け引きが興味深かった。2020/12/23