出版社内容情報
後漢の建武中元2年(西暦57年)の正月、後漢の都が置かれた洛陽の北宮において、時の皇帝が、遠く日本列島から訪れた倭の奴国の使者と謁見していた。そこで、皇帝と使者との間にどのようなやり取りがあったかは、詳らかには分からない。史書の伝えるところでは、この時、使者を介して、奴国の君主は「漢倭奴国王」に冊封され、その文字を刻した金印と、恐らくは紫色の綬(印を首からさげる組みひも)とを下賜されている。現在、九州国立博物館に所蔵されている、志賀島から発見された金印が、この時奴国の使者に授与されたものである可能性が極めて高いといわれている。中国諸王朝の皇帝の中で、日本列島に居住していた人物と謁見した人物はそう多くはないであろうが、確かな記録に依拠する限り、その第1号こそ、本書の主人公光武帝である。
本書では、その光武帝の中国再統一に至る経緯や政策ならびに政治理念を紹介することを通して、光武帝その人がどのような人物であったか、さらには光武帝が事実上建設した後漢という王朝をどのように理解すれば良いのかを論じる。
内容説明
巧みな政治力で乱世を平定し、いったんは滅亡した漢王朝を復興した後漢の初代皇帝光武帝。以後およそ200年続く王朝の基礎を固めた皇帝の、天下統一への道、国家統治上の諸政策を検証しながら、讖緯思想に傾倒した一面も含めて、その指導者としての人物像をさぐる。
目次
光武帝と後漢
1 劉秀の誕生・成長と両漢交替期の世相
2 後漢王朝の成立と天下統一
3 国家統治の再建と光武帝の施政方針
4 劉秀と讖緯思想
5 劉秀の時代の対外関係
6 劉秀という人物をどう考えるか
著者等紹介
小嶋茂稔[コジマシゲトシ]
1968年生まれ。東京大学大学院人文社会系博士課程修了。博士(文学)。専攻、中国古代史、近代日本のアジア認識・史学史。現在、東京学芸大学副学長、教育学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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