内容説明
グローバル・ヒストリーには文字情報をおもにあつかう歴史学者だけではなく、多くの自然科学者も参加し、これまでになかった斬新な手法と多様な情報が駆使された成果が続々と生み出されてきている。これらの研究は、今後の歴史学のありかたを大きく変えるものである。本書では、グローバル・ヒストリーの概要を伝えた。
目次
グローバル・ヒストリーの登場
1 ヨーロッパとアジア
2 環境
3 移動と交易
4 地域と世界システム
5 グローバル・ヒストリーの意義と今後の展望
著者等紹介
水島司[ミズシマツカサ]
1952年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。専攻、南アジア近現代史。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
15
大学一年の授業で指定された本を改めて読む。8年前の自分には難しかったが、今読むとグローバル・ヒストリーに関する様々な視点が整理されていて入門書として適切。2021/12/06
うえ
10
2010年刊行の小著。グローバル・ヒストリーに大きな影響を与えたものとしてウォーラーステインの世界システム論に言及しつつも、その射程が、オランダ、イギリスに先導された欧州世界発資本主義でしかないことを指摘する。中国も視野に入れたポメランツを取り上げ、マルサスの罠に言及。それは人口増大による食糧不足が飢え、病、戦争を招き経済成長を止めること。リカードの罠は、土地資源の制約が持続的成長を止めること。英国は北米大陸によって二つの罠から解放されたとする。後半ではブローデルや家島彦一などの海域研究にも触れている。2021/03/24
ののまる
7
なるほど。最後の日本での歴史学研究の変遷に大笑いしてしまった。ホントにそう。現実を理論に無理に当てはめようとする研究ばっかりだったな。老人の大家に若い研究者がみんなウンザリしていた。2024/06/08
サアベドラ
7
90年代頃から盛んになっているグローバル・ヒストリーの概要と主な成果を紹介。グローバル・ヒストリーとは環境や人口、経済、産業構造などを世界規模で分析、比較、検討する研究領域で、多極化、グローバル化が高度に進展している現代世界を見事に反映した分野ともいえる。日本の研究者では中世イスラーム海洋交易圏研究の家島彦一先生が有名。世界を股にかけたダイナミックな叙述ができるのが最大の魅力だが、広範囲かつ大量の資料を扱うゆえ、多言語の資料に通暁した研究者や国際共同研究でなければ成果を出しにくいのが難点。2012/09/10
閑
6
世界史分野で最近はやり?のグローバルヒストリーについての概説書。たった80ページで様々なテーマや研究成果の概要などがコンパクトにまとまっている。ただグローバルヒストリーとはなにかという定義が曖昧なこと、「グローバルヒストリー」として認識されるようになったのは比較的最近なのでまとまりに欠ける印象で、まだ発展途上の分野なのだなと感じた。2017/03/25
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