内容説明
熱帯気候のもたらす豊かな降雨が形成した森林や河川をもつ東南アジアの人びとは、自然との関係を丹念に構築してきた。また東西海洋交通の要衝にあるこの地域には、古くから交易のための港市が栄えた。こうした港市を拠点に、東南アジアには多くの国家が誕生した。港市国家の建国神話は、支配者が多様な出身地の人びとに開かれた港市をつくりながら、王国内に独自の地域秩序を構築する興味深い材料を提供してくれる。
著者等紹介
弘末雅士[ヒロスエマサシ]
1952年生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。オーストラリア国立大学大学院博士課程修了、Ph.D.。専攻、インドネシア宗教社会史。現在、立教大学文学部教授
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感想・レビュー
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hr
2
アラブやペルシアでは、アレクサンドロスがイスラームを広めるために戦った英雄として語られているという部分に驚く。マラッカ王国の建国神話にも、そのような登場の仕方があるとのこと。世界は面白い。2017/10/18
こずえ
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東南アジアの神話、興味わかない?
旻(akizora)
0
博物館展示「アンコールワットへのみち」の予習も兼ねて手に取ったが、内陸よりも海沿いの国々や島についての記述が多く、ヒンズー教の神々を祀るカンボジアの遺跡とは宗教的にも解離していて、比較するのも面白い。イスラム教の影響が強く、神話における伝説上の人物(竹姫や象に育てられた少年、海の支配者たる女性や豊穣の化身等)は軒並み「王・女王」と呼ばれ「神」とは呼ばれない。アッラーを唯一神とする宗教の影響は神話の記述にも根強いのか。海運の要所たる地域の他国との交流が建国時に根を張った神話は、日本とは大きく異なり興味深い。2016/05/29
rice5baller
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世界史を受験で使用した自分でも東南アジア特有の用語に苦労した。 他の易しい書から始めてもいいと思う。2012/05/31
sfこと古谷俊一
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法隆寺の謎を解く2008/05/18