内容説明
本書は、李朝後期の歴史的展開と近代史との関連、朝鮮社会の内部変動と国際的契機との関連に留意した、朝鮮近代の歴史についての概観。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クラムボン
13
1863年に幼い高宗(コジョン)が李朝第26代の王に即位。実父の大院君(テウォングン)が実権を握った時から1910年の韓国併合までを「朝鮮の近代」と捉える。この時代は鎖国派と開国派、大院君と高宗王妃閔氏の対立軸がある。そこに甲午農民戦争が起こり、それが日本と清の干渉を許し日清戦争となる。そして三国干渉、閔妃暗殺、1897年には清の朔封を脱し「大韓民国」となる。だがロシアとの覇権争いが日露戦争…勝者日本が朝鮮への支配を強める。この数十年が時代の転換点なのに李氏朝鮮の宿痾の権力争いは止まなかった。残念だ。2025/05/07
gkmond
2
1910年以降45年までのことが知りたいと思って開いたら1863年から1910年までの話だったけど、これまた知らないことしかないので興味深く読めた。1893年までは太陰暦で記述するよって書いてあり、太陽暦だといつ? って検索するたび、Wikipediaの記述が太陰暦の日付をそのまま写しててはからずもWikipediaの限界が見えた感じだった。平凡社の百科事典(コトバンク)は太陽暦に直してあって重宝した。さて続きの時代の本を見繕わねば。2024/06/06
のとや書架
2
日本統治期以前の、朝鮮の近代史に関してはもっとも手に入りやすく、読みやすい資料だろう。朝鮮の近代史は、日本、中国、欧米によって翻弄されたが、朝鮮国内でも、自国の方向性を巡って激しい闘争があった。その闘争の様子が簡潔に記されている。朝鮮も、日本と同じく、西洋的近代化を模索する動きと、それに反する動きがあり、その動きは日中ロの干渉の中で常に揺れ動いたことがよくわかる。日本と中国のエゴが、この朝鮮の歴史を大きく変革したのだ。しかし、キリスト教を激しく排斥した朝鮮が、現在は相当な数の信者を擁するのはなぜなのだろう2012/08/24
fantamys
1
どの分岐点が決定的だったのか。2021/07/03
Omata Junichi
1
植民地化に至るまでの朝鮮近代史の概説書。自らを「文明」とする者が「野蛮」とする者に対峙したとき、どれほど野蛮に振る舞うことができるかという現実を目の当たりにする。「自身の内にあるレイシズムに自覚的であること」は、レイシズムが土俗のひとつとも言われる本邦においてこそ、そしてこうしたご時世の今だからこそ、とても大事なんだなと思う。それと、朴泳孝や李完用がどんな人だったのか、併合後に(華族として)どのように生きたのか、とても気になる。2020/07/04