内容説明
合理主義を追求してきた近代社会。私たちは、今それを息苦しいものにも感じている。中世末ヨーロッパ人の喜びや悲しみは今よりも激しかった。民衆の感性や習俗は近世にはいっても大きな変化をみせなかったが、宮廷びとは、激情を礼節と作法で馴化し、国王を頂点とする儀礼の支配する構図に組み込まれて生きるようになった。支配層と民衆との文化の裂け目は大きい。その二つの文化を検討し、それらがどのように近代社会へ流れ込んできたのか。
目次
宮廷文化と民衆文化
1 ブルゴーニュとウルビーノの宮廷
2 フランスの宮廷
3 民衆文化
4 ブルジョワ文化による統合
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
12
15世紀ブルゴーニュ公国、16世紀フランス王国などの宮廷文化と同時代の民衆文化を対比し、それらが近世ブルジョワ文化によって統合されていく過程を辿る。ブルゴーニュ公国の音楽や文化に紙面を割いており、同国に関する本を読み返したくなった。2020/01/07
皿笊
2
中世末のヨーロッパにおける支配層と民衆との2つの文化をそれぞれ見ていく。互いに分裂していたこれらはブルジョワ層により統合され近代社会へと流れ込んでゆく。興味深い題材ではあったが大半が宮廷文化に割かれてしまうのは致し方ない事とはいえ少し残念。2015/12/11
nktnh
0
移動する宮廷が興味深い。2010/06/23