出版社内容情報
軍事大国の経済破綻、改革の挫折、政治的緊張感の喪失…。アメリカ覇権の揺らぎ、ロシアの動き、米中「新冷戦」。激動の国際秩序を見通すために知りたい、歴代14帝国「崩壊」の道程を第一線の歴史学・考古学者陣が読み解く。
内容説明
軍事大国の財政破綻、改革の挫折、政治的緊張感の喪失…第一線の研究者が解く歴史上の14帝国「崩壊」の道程。
目次
8章 衰退に拍車をかけた政治的緊張感の喪失と外交の失敗―ビザンツ帝国の崩壊
9章 巨大化が遊牧帝国特有のシステムにもたらした機能不全―モンゴル帝国の崩壊
10章 領邦間のバランス喪失がきっかけの「幸福な崩壊」―神聖ローマ帝国の崩壊
11章 挫折した帝政の体制内改革と「共和制の帝国」ソ連への連続―ロシア帝国の崩壊
12章 軍事的比較優位の喪失と「ナショナリズム」による自壊―オスマン帝国の崩壊
13章 なぜ中国は少数民族の「中国化」を推し進めるのか?漢人の台頭と失われた清朝の統治精神―大清帝国の崩壊
14章 「英植民地は平和裏に独立」説は真実か―イギリス帝国の崩壊
結びにかえて 歴史上の諸帝国とその「崩壊」過程への展望
著者等紹介
鈴木董[スズキタダシ]
1947年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。専攻はオスマン帝国史、比較史・比較文化にも深い関心を持つ。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nat
34
図書館本。何とか読み終わった。上巻よりは下巻の方が知識がある部分が多く、理解しやすかった。ロシア帝国の崩壊の章では、ロシア帝国での身分制など世界史の学習だけでは知り得なかったことから、崩壊に至る過程がよくわかった。また、オスマン帝国の章では、ゆるやかな統合と共存のシステムの下では、イスラム教とキリスト教とユダヤ教が不平等ながら共存できていたが、西欧の外圧により崩壊し、現在のパレスティナ問題に繋がっていくことなどが理解できた。最後の結びにかえてでは、今後の世界の展望についても考えることができ参考になった。2024/01/03
ようはん
19
神聖ローマ帝国やオスマン帝国はその実態をあまり知らなかった為もあり面白かった。しかし帝国の崩壊が大量の犠牲者を出すケースもいくらかあり、ロシア革命からのロマノフ朝崩壊からソ連成立までの動乱辺りは有名かも知れないが大英帝国におけるインド独立時に万単位の犠牲者が出た事やケニアの独立運動への残虐な弾圧が1950年代に行われていたのは初めて知って驚く。2023/03/06
鯖
18
モンゴルの崩壊。部族連合なので跡継ぎが気に食わなければ遊牧民族全員ひきつれて部族がどっかにいっちゃう。遊牧民だから均分相続でも家畜分けてなんとかなってたけど、征服戦争が行き詰まってくとさすがにダメダメになってくる。チンギスハンの孫は1万人いた。…。一万人いると君主を選出する大集会も紛糾する。…アー株主総会の総会屋なやつ。ソ連は共和制の帝国。総力戦に対応するために共和制的な動員装置を取り込んだ帝国だった。2023/04/07
bapaksejahtera
13
下巻に入りモンゴルロシアオスマン清等、今日まで政治的文化的な影響を残す「帝国」が登場する。特にロシアとそれを継承したソ連が、共に農民身分から形を変えての収奪を続け、1970年迄農民の移動の自由を阻んだ点は印象深い。中国は今だに農民戸籍で人民を差別するのも両者の符合を感じる。辛亥革命で中国は清の最大領土をそのまま継承し、中共は清が構築した満州人を扇の要とするその支配形態を、今や中華民族の構築として換骨奪胎する。本書でアジア記述には東大の史学本流は参加しない。本書編者は同大法学部であり、他にも岡田英弘色が強い2024/08/15
Mana
9
上巻は古代王国の話で面白く読んだけど、下巻になると結構読んだことのある国の話でそれほど目新しいことはなかった。ビザンツ、モンゴル、ロシア、オスマン、大清は特に新しい話はなし。神聖ローマ帝国と大英帝国は少し面白かった。2022/10/27
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