内容説明
「数日で奪取できる」と上陸したアメリカ海兵隊の精鋭たちは、この島で予想外の戦闘に遭遇する。それは「バンザイ突撃」を封じ、最後の一兵に至るまでの恐るべき徹底抗戦を挑む日本軍守備隊の姿だった―。多数の貴重写真で綴る、ペリリュー戦の実相と奇跡の生還まで。
目次
パラオ戦跡紀行
序章 知られざる戦場
第1章 オレンジビーチの死闘
第2章 徹底抗戦
第3章 見えざる敵との戦い
第4章 奇跡の生還
著者等紹介
平塚柾緒[ヒラツカマサオ]
1937年茨城県生まれ。出版社勤務後、独立して執筆・編集グループ「太平洋戦争研究会」を主宰し、数多くの元軍人らに取材を続けてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
64
ダイビングスポットとして人気のパラオ諸島の中のペリリュー島は、2015年天皇皇后両陛下が慰霊に訪れた場所。戦時下、激戦のこの地で日本軍1万22人が戦死した。実に95.7%にあたる。ペリリュー島に当時東洋一とも言われた飛行場があり、米軍は徹底的な空爆と圧倒的な軍事力で占領、降伏調印するも、洞窟で立てこもる日本兵34名は昭和22年銃撃戦を引き起こした。家族からの手紙で終戦の事実に納得する。南ラグーンとロックアイランドは2012年世界遺産に登録。今は穏やかな美しい海が何事もなかったかのように広がっている。2019/08/14
roatsu
25
本来ならペ島のみならず日米が激突した太平洋の全戦場ごとに本書の様な資料が出され、日本人が読んで知ることが望ましいのだが。水戸健児から成る関東軍最強を謳われた歩兵第2連隊他同島守備隊将兵と大変な犠牲を強いられた米兵双方の御霊の冥福を祈りつつ頁をめくる。血も涙もない凄惨な殺戮の応酬が戦争の実態であり、頭ではわかっていても今もせざるを得ない人間の本性を踏まえてどうすればこれを可能な限り避け、独立自存と平和を守れるか。偶然何も起きなかった戦後への未練たらしい執着ではなく現実を見据えた今後への舵取が必須である。2018/04/27
馨
20
戦中の写真は、米兵が撮影したものなので日本兵の惨敗と米兵の勝ち誇ったような写真ばかりですが激戦地なので仕方がないのかなと思います。現在の写真に写っている当時の戦車の残骸などずっと残しておいてほしいです。2015/09/12
フロム
12
図版や写真が多く経緯を追いやすい。ペリリューが戦史のお手本レベルで敢闘したのは知っていたが、意外と戦力が配備されていたのは驚いた。戦車までいたのかと。 終戦後の投降兵や慰霊まで丁寧に追っており、日本側からみたペリリューはこれでだけで正直充分かも。2018/06/08
ネジとサビ
6
ペリリューの名前だけは知っていたけど、息子の要望で借りていた図書館本をようやく読めた。パラオ、ペリリュー、アンガウル島の戦闘を、米側からの写真ばかりではあるが、知ることができて良かった。なぜこんなに小さな島を玉砕してまでも守らなくてはならなかったのか、ようやく理解できた。無念の中亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたい。2020/08/30