出版社内容情報
ヘーゲル学者として出発し、そのテキストの解読をふくめた優れた業績を上げ、そこからさらに生命倫理学、環境倫理学など広く社会の現状に対応する応用倫理学的理論と実践にまで、哲学的知見を生かしてさまざまな領域の現代的課題を考察し、問題提起する現代日本を代表する哲学者の全主要業績を網羅する。単行本未収録論文をふくめて、将来に読みつがれるべき思考の痕跡を、多様なテーマにもとづいて整理し、配列する。各巻末に著者解題付き。著者は、山形大学、東北大学、千葉大学、京都大学、鳥取環境大学初代学長などの経歴をもち、日本ヘーゲル学会会長、元日本哲学会会長といった要職をかねて日本の哲学界の指導的立場をこなされてきた。日本哲学界待望の著作集。
第1回配本は著者の仕事の原点ともいうべきヘーゲル哲学研究の基本を示す最初の著書『ヘーゲル哲学の形成と原理』ほかを収録。
目次
『ヘーゲル哲学の形成と原理――理念的なものと経験的なものの交差』(1980年、未來社、山崎賞受賞)
*単行本未収録論文
カントと「ドイツ観念論」
ヘーゲル
ドイツ観念論の文化的背景
ヘーゲル論理学の形成と変容
加藤 尚武[カトウ ヒサタケ]
1937年、東京生まれ。
1960年、東京大学教養学部学生として安保闘争に参加。
1963年、東京大学文学部哲学科を卒業。東京大学文学部助手、山形大学教養部講師・助教授、東北大学文学部助教授、千葉大学文学部教授、京都大学文学部教授、鳥取環境大学学長、東京大学医学系研究科特任教授を歴任。元日本哲学会委員長。日本学術会議連携会員、京都大学名誉教授。
《専門》
ヘーゲル哲学、環境倫理学、生命倫理学。現在は、徳倫理学、貢献心、利他主義の研究開発に従事している。
《受賞》
哲学奨励山崎賞(1979年)、和辻哲郎文化賞(1994年)、紫綬褒章(2000年)、建築協会文化賞