内容説明
「やつは敵である。敵を殺せ。」―戦争と革命という、20世紀の政治の深奥に横たわる死を見すえ、1960年代の「政治の季節」に大きな影響を与えた原著を、新たに版を組みなおして復刊する。死と暴力の死滅に来るべき政治の可能性を読む解説を付し、現代に蘇る政治評論の名著。
目次
政治のなかの死
憎悪の哲学
目的は手段を浄化しうるか
敵と味方
転換期における人間理性
組織と闘争と敵
フルシチョフ主義の秘密
指導者の恐怖
指導者の死滅
革命の意味
著者等紹介
埴谷雄高[ハニヤユタカ]
1911年生まれ。作家。1997年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
solaris
6
日頃知ってる「政治」の話ではなかった。 政治の幅は常に生活の幅よりも狭い。にも拘らずしばしば生活を支配していると感じるのは、それが黒い死をもたらす権力を持っているからに他ならない。目的は手段を正当化する、マキァベリの君主論。元来民衆は冷静な理性よりも感情に動かされ易い。極めて単純であり、愛か憎しみか、善と悪かという対立しかない。敵を殺せ。 時代の隔絶。安保闘争も知らない世代。私の知っている政治は資本主義と水面下の根回しなのだ。そこに死の考えはない。イスラエル中東の異常さに自分達が近づくまで分からない。2015/02/18
Hisashi Tokunaga
1
埴谷の思想がいつまで、どこまで人口に膾炙するだろうか?そここそ、時代性の移ろいかもしれない。