出版社内容情報
サイード、三木清、ヘーゲルを論じ、さらには映画「ショアー」が提起する歴史の《記憶》と《証言》の問題まで、言説の異他なる反場所、ヘテロトピア的立場から近代知を批判する。
内容説明
ユートピアのような非在の場所ではなく、実在の場所でありながら他のすべての実在の場所に異議を唱える反場所、ヘテロトピア。現代世界における境界知識人、E・サイードをめぐる表題論考を端緒に三木清とヘーゲルにおける「関係と超越」、国家総動員体制の思想的根拠、さらには、映画『ショアー』が提起する歴史の「記憶」と「証言」の問題まで、ヘテロトピア的立場から近代知を批判し言説の異他なる反場所を模索する人文諸科学への最新メッセージ。
目次
ヘテロトピアの思考
言説の異他なる反場所へ
絶対の無はいずこに
ヘーゲル論理学の「失われた弁証法」をめぐって
全体国家とエコポリティクスの思想
凍てついた記憶
映画『ショアー』に見る「状況の演劇」の現在
歴史と証言
炸裂する歴史認識
同一性への欲望と「外部」の思考〔ほか〕