出版社内容情報
橋本 夢道[ハシモト ムドウ]
著・文・その他
目次
二十代(層雲入門;故郷と兵隊生活;東京へ戻る ほか)
三十代(俳句生活;抵抗;フアッショ異変 ほか)
四十代(東京拘置所;保釈後;疎開 ほか)
著者等紹介
橋本夢道[ハシモトムドウ]
明治36年4月11日徳島県北方藍園村に生る。本名淳一。小作百姓の為、小学校8年卒業後、大正7年上京。深川の肥料問屋の小僧となる。自由結婚をした為、昭和5年馘首さる。同年銀座の洋品雑貨商に勤め支配人となる。同業不振の為、飲食業月ヶ瀬を開店現在同社役員。大正12年自由律俳句「層雲」荻原井泉水に師事して作句。昭和5年栗林農夫(一石路)、神代藤平、横山林二氏らのプロレタリア俳句に活躍。昭和9年「俳句生活」発刊、その編集にあたる。昭和16年俳句弾圧事件にて同人らと同18年まで投獄さる。出獄後再び「層雲」に復帰。敗戦後、新俳句人連盟結成に加り、現在、同連盟常任中央委員、現代俳句協会々員及び新日本文学会、日本文化人会議会員。同人雑誌「秋刀魚」に所属して作句を怠らない(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちぇけら
20
疚しくないのに警官から目をそらす春だ。ただよるの街に出て、みしらぬ娼婦の白粉の香をかぎながら、どうしてこんなに好きなのだろうと君を思う陽はくれて。毎日を君とすごすことを活力にして粉のふく芋を見ゆ。貧に窮してもなお笑つている君は梅の花かおる青空のようで、戦も政治もなくなつてくれと、ちびり酒を呷つた。無理にあらそわずとも人は死ぬのだ。銃をみがく必要なんてないのだ。両親も兄弟も親友も妻も吾も子も分け隔てなく息は止まる。いつも金はなくて、金で売られて擦りきれる毎日をやめようでもやめないやめられない、やめたくない。2019/05/23
mayumi225
4
自由律俳句集。「みつ豆をギリシヤの神は知らざりき」の売り文句で銀座中に勤め先の蜜豆を流行らせた橋本夢道。政治的な句や獄中句もあるが,酒好きで愛妻家で生活にまみれた句が優しい。◆うごけば,寒い/面会やわが声涸れて妻眼しを美しくす/初夏のさし入れ弁当のそら豆/無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ/妻よおまえはなぜこんなにかわいんだろうね/愚かしや生ビール旨しと思わざる者は死ね/法師蝉の一匹はたしかに泣き笑い/翌日も翌日もなぜ働きにゆくの面白いの2016/05/29
つかさ
2
くじやくも春のまひるだ 一九五四年初版2010/05/18
こさと
0
日本の古本屋で購入。 前職場に、近代俳句を研究している若い大学教員が出入りしていたことがあり、自由律俳句の文献等を読んでいたら、橋本夢道が気になりました。 地元図書館には全集的な分厚い本しかないので、思い切って買いました。読んだら、好きな俳人が夢道になりました。