出版社内容情報
山形 孝夫[ヤマガタ タカオ]
著・文・その他
内容説明
本書は、古代地中海世界に活躍した驚異の治癒神について、失われてしまった伝承の断片や碑文を手がかりに、その系譜をたどろうとしたものです。
目次
第1部 レバノンの白い山(レバノンという国;白い山の神話―祝婚の花嫁と悲嘆の花嫁;レバノンからの花嫁 ほか)
第2部 アスクレピオスと初期キリスト教(エピダウロス碑文にみる治癒神アスクレピオス;初期キリスト教におけるキリスト―アスクレピオス競合の歴史過程)
補説 古代オリエントにおける大地母神崇拝と神婚について
著者等紹介
山形孝夫[ヤマガタタカオ]
1932年仙台に生まれる。東北大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。同大学院博士課程修了。現在宮城学院女子大学名誉教授。専攻初期キリスト教史・宗教人類学。著書に『失われた風景-日系カナダ漁民の記録から』(未来社)『聖書の起源』(講談社)『聖書物語』『聖書小事典』(いずれも岩波書店)『聖書の奇跡物語-治癒神イエスの誕生』『死者と生者のラスト・サパー』(いずれも朝日新聞社)『砂漠の修道院』(平凡社、日本エッセイストクラブ賞受賞)ほか多数。訳書に『聖書の伝承と様式』(未来社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
13
古代地中海の豊穣な神話を詩的な文体で語っている。まずはレバノンとはどういう国かという事を叙情的に語り、ついで筆はアドニスとバァルの関わりに伸びていく。旧約聖書雅歌の乙女は誰かということについて分析した後は、アスクレピオスとキリストの治癒神としての関わり合いについて論じられる。一神教に押し潰される前は、古代オリエントにこれほど豊かな世界があったのであるな。一番興味深かったのはキリストが最初は病気を治す存在として広められていた事と、他の神と競合してその地位を奪った事。当初から非寛容であったのだな。2012/06/30
hiro6636
1
初期キリスト教とアスクレピオス神殿との葛藤が面白かった。2021/09/05
ハイパー毛玉クリエイター⊿
1
引用されている神話(というより詩なのかな?)がひじょうにロマンチック。妙に人間臭いところも持ち合わせていながら幻想的でもあり、神話というのはほんとうに面白い。2015/11/29