出版社内容情報
Banach-Tarskiの逆理(パラドックス)とは、「球体を有限個に分解し、剛体運動で動かして組み立てることにより、2倍の大きさにできる」という驚くべき数学的帰結である。物理的な常識からずれていることから逆理と呼ばれるが、選択公理から論理的に導かれる、れっきとした定理である。
この逆理に関わる理論は、解析学(測度論と線型汎関数)、代数学(組合せ群論)、幾何学(等長変換群)、トポロジー(局所コンパクト位相群)、数学基礎論と多岐にわたる。本書は、この逆理とその周辺結果を詳細に解説した専門書である。
原著の初版は1985年に発行された。新版では、逆理に関する多数の新しい結果と証明、未解決の問題を掲載している。その中には、Escherの有名な木版画『天使と悪魔』に関係する、双曲平面における逆理もある。新しい章(第9章)は、60年以上にわたって未解決であった問題「円の正方形化」の完全な証明に充てられている。
[原著: The Banach-Tarski Paradox, 2nd Edition, Cambridge University Press, 2016]
内容説明
Banach‐Tarskiの逆理とは、「球体を有限個に分解し、剛体運動で動かして組み立てることにより、2倍の大きさにできる」という驚くべき数学的帰結である。本書では、この逆理と、群論・幾何学・数学基礎論との関係に触れる。原著の初版は1985年に発行された。新版では、逆理に関する多数の新しい結果と証明、さらには未解決の問題を掲載している。その中には、Escherの有名な木版画『天使と悪魔』の形に関係している、双曲平面における逆理もある。新しい章(9章)は、60年以上にわたって未解決であった問題「円の正方形化」の完全な証明に充てられている。
目次
1 paradoxical分解の存在、すなわち有限加法的測度が存在しないこと(導入;Hausdorffの逆理;Banach‐Tarskiの逆理:球面と球体の複製;双曲空間の逆理;局所可換な作用:paradoxical分解の片数の最小化 ほか)
2 有限加法的測度の存在、すなわちparadoxical分解が存在しないこと(節目;群の測度;従順性の応用;群の成長条件と超従順性;選択公理の役割)
著者等紹介
トムコヴィッチ,グジェゴシュ[トムコヴィッチ,グジェゴシュ] [Tomkowicz,Grzegorz]
ポーランドの独学の数学者。paradoxical分解と不変測度の理論にいくつかの重要な貢献をしている
ワゴン,スタン[ワゴン,スタン] [Wagon,Stan]
Macalester Collegeの数学教授。Wolfram Research Innovator賞のほか、Ford賞、Evans賞、Allendoerfer賞など数々の賞を受賞
佐藤健治[サトウケンジ]
1996年東京工業大学大学院理工学研究科情報科学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。現在、玉川大学工学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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