出版社内容情報
イタリアを代表する歴史哲学者が、ムッソリーニの台頭する30年代において反ファシズムの立場を明らかにし、歴史哲学と実践を論じた書。
目次
第1章 歴史書の本質
第2章 歴史書の真理性
第3章 歴史書の統一性
第4章 歴史における必然性の意味
第5章 あらゆる認識は歴史的認識である
第6章 歴史の諸範疇と精神の諸形式
第7章 行動と思考の区別
第8章 歴史からの解放としての歴史叙述
第9章 価値と反価値の闘争の前提としての歴史叙述
第10章 行動としての歴史
第11章 道徳的活動
第12章 自由の歴史としての歴史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
8
ファシズムの抬頭によって自由が失われてる時代に、歴史家や哲学者が自分たちのやってきたことに反省を迫られるというのは奇妙なんだが、歴史的思考とか歴史主義というものがこの自由の喪失と関係がある。歴史を必然とすれば人間に自由はない。だが意志によって歴史は乗り越えられるとすれば盲目的な「活力主義」に陥る。クローチェは生の哲学の影響を受けながらも、思考を超越論から救い出し生の中に組み入れてしまう。善とは生を促すことで、生とは真を発見し、美を創造し、功利を実現していくことにほかならない。この生の統一性を守るのが道徳。2022/07/03