出版社内容情報
ヘーゲルの弁証法を批判的に摂取、マルクス主義にはじめて主体性の問題を提起したルカーチの代表作で、第二インター批判を通じて新しいプロレタリア革命を階級意識に求めた。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
14
ハンガリーの資本家の家に生まれ、やがてフランクフルト学派の中心人物と目されることとなったルカーチ、その38歳時の主著。「物象化とプロレタリアートの意識」と「階級意識」の二つの論から成る本書では、マルクスが資本主義の分析において形成した「物象化」概念を、精神的・文化的側面にも当てはめていく。「物象化」とは、人間関係が物同士の関係に置き換わる現象、とでも言えばいいか。ルカーチは、物象化が進捗する過程を考察しつつ、プロレタリアートの意識が資本主義を打倒する方向へと向かう必然性を導かんとする。2022/09/05
てれまこし
7
歴史変化が経済構造に還元されるのであれば、政治経済学があればよい。もう哲学はいらない。ルカーチは革命の主体・主観・主語の問題を持ち出すことにより、哲学を復権する。階級意識は階級の全体において占める立場から受け取られるため、必然的に部分的である。ただプロレタリアートのみが自らの階級を破棄することを意図するが故に部分性を乗り越えることができる。だが、そのためには客体としての社会全体を知るとともに、自らの意識も対象化しなければならない。それは、物象化され分断された知を統合する哲学を志向するということでもある。2019/06/08
Was
3
実存主義的な傾向が強い。ので、この後のマンハイムの登場を準備したのはよく解る。決して悪い本だとは思わないが、歴史性に着目する以外のアプローチでどのように特徴を摘出することができるのかが気になる。2013/07/23
それん君
2
後進国ロシアで革命が成功しイギリスやドイツで革命が成功しなかったことがこの本の背景として存在する。ルカーチはこれまで支配的だったマルクス主義の経済主義に穴を開けマルクスの思想をより包括的にまとめた。もちろんルカーチ は後年この著作を批判的に扱ったが、それにしてもすごい。というか、これまでの自分のマルクス観が変わった。2021/02/25
肉欲棒太郎
1
主客の二律背反が不可避なブルジョワを、自覚的プロレタリートが粉砕!しかし階級意識が足りず、共産主義は資本主義に敗北したのであった…。2014/08/24