出版社内容情報
機会の平等と能力による評価、分配は、人々の生存を切り崩す「結果の不平等」を正当化する可能性と表裏一体ではないだろうか。能力主義には少なからぬ問題があるにもかかわらず、教育社会学は、その維持に手を貸してしまってはいないだろうか。本書は日本教育社会学会を舞台に行われた議論を、質疑応答も含めて収録。さらに議論を深める8つの論考から能力主義批判を超える立脚点をさぐる。
【目次】
はしがき
序 章 能力主義と教育社会学(山口 毅)
第Ⅰ部 能力主義を問い直す
報告1 行政学から見た能力主義(金井利之)
1 メリット・システム
2 現行日本の国家公務員制度
3 行政作用における能力
4 能力の帰着
5 教育社会学的なメリトクラシー像について
6 議論を整理するための三つの論題について
7 メリトクラシーの呪縛からの解放
報告2 能力原理により正当化される配分と支援(桜井智恵子)
1 問題の所在──「能力の原理」と暴力
2 教育研究における能力主義の位置──教育の政治経済化
3 先行研究における原理的な批判
4 まとめにかえて
報告3 「能力」から「必要」に応じた分配の構想へ(広瀬義徳)
1 職業的地位の配分と労働市場の関係
2 不平等が構造化された労働市場
3 能力主義に基づかない賃金所得の分配
4 「自己労働所有」テーゼの論理破綻
5 「必要」に応じた分配への規範的要請
6 労働生産性低下説をめぐって
7 「必要」に応じた分配原理の社会構想へ向けて
指定討論1(大多和直樹)
1 能力主義そのものを捉え直す
2 メリトクラシー、三つの幻想
3 能力主義の正当性はどこにあるのか
4 能力主義はなぜはびこるのか
5 三人への質問
指定討論2(広田照幸)
1 「AはダメだからBだ」をどう聞くか
2 三者の報告に(おそらく)共通の視角
3 メリトクラシーを問題にすることは重要
応答と討議
第Ⅱ部 能力主義批判をめぐる対話
第1章 課題研究をどう引き受けるか(大多和直樹)
はじめに
1 「すれ違い」はどのように生じたのか
2 教育社会学の諸研究の関心の在処と「すれ違い」
3 「すれ違い」をどう埋めていくか
第2章 「能力の共同性」と能力主義批判について考える──教育経済学的アプローチに基づく実証研究を行ってきた者の視点から(島 一則)
はじめに
1 「能力の共同性」の観点からの人的資本論の再検討
2 人的資本論・能力主義批判と必要に応じた分配に関する検討
3 能力主義批判・人的資本論(「能力の共同性」)を前提とした必要に応じた分配
第3章 「必要に応じた分配論」が教育社会学研究に問うていることとは──具体的事例の検討を踏まえた一考察(居郷至伸)
はじめに
1 検討に向けた分析枠組み
2 収益はいかにしてもたらされ、分配されるのか──経験研究の事例検討を踏まえて
3 事例に見る「能力に応じた分配」が抱える難点とは
4 「必要」に応じた分配に拓かれた社会の
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