出版社内容情報
“知の伝道師”鎌田浩毅が受け手となる講義形式で、斯界の第一人者の人生・思想に鋭く切り込むシリーズの第四巻。本書では、対談相手として国際政治学の泰斗・中西輝政京大名誉教授を迎え、第?部では生い立ちから研究人生の始まりまで、第?部では専門の「国際政治」をテーマに、大地の変動や文明論、さらに「インテリジェンス」という視野も含めて多角的に論じる。変化の激しい国際情勢を独自の観点で分析してきたその道筋を辿りつつ、対談を通じて深い洞察に満ちた未来への展望を語りあう知的刺激に富む一冊。
【目次】
はしがき(鎌田浩毅)
第Ⅰ部 “温かな保守”論客の軌跡
第1講 子ども時代~大学──大阪気質をたずさえて
大阪っ子のアイデンティティ
福沢諭吉と大阪商人
温かなコスモポリタンの源流
読書経験と大阪少年時代
高校時代
地学部と数学コンプレックス
しなやかな進路選択
京都大学“紛争の季節”の中で
政治への開眼
アメリカ留学
第2講 留学時代以降──自由で独立した知識人へ
“本場”イギリスへ
恩師ハリー・ヒンズリー
キッシンジャー、シャロンの集まるゼミで
「歴史は趣味」の世界
日本の悪しき政治主義の壁
論壇との決別・パージ・サンクション
歴史の実証的研究
学問の自由を求めて
学会のバイアス
政治家と政治学者
歴史からの連想力
過去は未来を解く鍵
コロンブス時代の終わり
こぼれ対談① 歴史の土地勘
第Ⅱ部 国際政治の世界
第3講 日本の歴史・風土と国民性
大地の変動と社会変革の連関
革命より深い維新
大衆とエリート
教育と知識による防災
大衆の目覚め
エリートの惰眠
大地がもたらす禊ぎ
危機感の欠如と信頼の不足
教養とは何か
第4講 日本の文明史
日本文化vs日本文明
シュペングラー『西洋の没落』が語る日本=月光文明
日本人による日本文明論
日本学としての陽明学
数学と日本文明の純粋性
揺れる大地の文明
日本列島の特殊性
マッキンダーの地政学とスパイクマンのリムランド論
マグマのつくる肥沃な大地
1991・大地変動時代はじまりの予感
オウム真理教事件の衝撃
研究者としての脱構築
日本的クリエイティブの地平
デカルトとの決別と身体論
こぼれ対談② 学術雑誌とビジネスマン
第5講 インテリジェンスの世界
国家の本質としてのインテリジェンス
インテリジェンスが抜け落ちた近代日本
ロシア・中国のインテリジェンス
英米インテリジェンス協力
文書公開とインテリジェンス
裏読み情報戦?
日本に大きく欠けているインテリジェンスの知識
日本に本格的情報機関は生まれるか
スーパーステート・ユダヤ
“スーパーステート”カトリック教会と国際政治
ゾルゲの言葉「日本はカニ」
「日本問題」としてのインテリジェンス問題
日本人の感性を生かす
Aチーム論・Bチー